海賊
□その男、欲情
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夏島に停泊して3日目。
シャチたちとポーカーをしていたけれど、飽きたから寝ることにした。
(…今日はどこで寝ようかなぁ)
夜中の1時を回った船内は当たり前だけど静まり返っていて、通路はやけに底冷えする。
ひんやりした空気の中で頭に浮かんだのは、ローのあったかい手だった。
『…ん。今日はローのとこで寝よ』
この海賊団は監視と言うわりに僕に対する拘束は一切なく、ただ徘徊する僕は船のいろんなところに出入りして好き勝手やっていた。(主に寝るだけだけど)
船長室も例外じゃなくて、いつも通りノックもなしにするりと入り込む。
珍しくローは寝てるみたいで、部屋の灯りは消えていた。
『………』
ベッドまで歩いて行くと小さな寝息が聞こえる。
『ほんとに珍しいね、こんなにしっかり寝てるなんて…』
基本読書中にうたた寝する程度しか眠らないローの寝顔は貴重だ。
起こさないようにそっと覗き込んでみるとやっぱりいつもみたいに具合が悪そうだった。
ふと、毛布の間からだらりと垂れている腕に目がいく。
『…………』
ベッドの脇に膝をついて、布団からはみ出したその腕を取り自分の頬に添える。
じわりと溶けるような温もりが手のひらから頬に伝った。
『…あったかい…』
そのまま手に擦り寄るようにしていると、ローが軽く唸った。
「……ん、…」
(…起こし、た…?)
顔を覗いてみたけど、起こしたわけじゃなさそう。
でも、
『っ!!?』
力強く引っ張られたと思ったら、次の瞬間には俺の身体は毛布に埋もれていた。
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