【電波】

□路地裏の。
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僕は3日前から彼女に課題を出していた。
毎日同じ下着をつけ続けるように。そして、待ち合わせの場所に来る途中の駅でその下着を脱いで、ノーパンで来い、と。
別に僕は汚れた下着が好きなわけでも、臭いフェチなわけでもないが。
ただ、ノーパンは好きだ。大好きだ。
だから、ノーパンで来ることは課題とは別で命令としてマキに伝えた。
SM初心者の彼女には辛かろうと無理はしないように、とも。
SMで大切なことは信頼だと、僕は思う。
だからこそ、というのは変だが、僕は彼女から誘われるまで、サイトとメールでしか絡んでこなかった、写真の交換もしていないし電話もしていない。
ただたんに、お互いの顔も声も知らず、性癖だけを知っている。この状況が堪らなく好きなだけなのだけれど。

と、思考していたら。「こつり、こつり」とヒールの音が、近づいてきた。
その音は、止んでは鳴りを繰り返した。

ふと時計を見てみると長針は3を指していた。
時間じゃないか。

僕は彼女に声を掛けた。
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