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□大人になったら
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アタシ、夢を見たの。
アタシはいつものようにピカチュウを奪いにジャリボーイの元へ行く。
しかしその横にはお馴染みの相棒が居ない。
自分1人だった。
対するジャリボーイの周りにも仲間が誰も、居ない。
あ、れ?
アタシとジャリボーイの2人きり…?
これは、何なの―――
「……サシ…ムサシっ!!起きろっ!!」
「へっ!?」
長年の相棒コジロウの聞きなれた声でアタシは目覚めた。
どうやら作戦会議の途中に眠ってしまったみたいだ。
こんな大事な時に、疲れてるのかしら。
「ムサシ、顔色悪いし今日はやめとくか?」
「何よ。大丈夫よ。」
「でも今日は休んだほうがいいニャ。
ピカチュウゲットは明日からでも出来るニャ!!」
「ん……悪いけど、そうするわ。」
あの屋敷の一件から、早3ヶ月が経った。
色々あり一度カントーに戻ったアタシ達ロケット団は、再びサカキ様からプラズマ団の計画阻止とピカチュウGETを言い渡されイッシュ地方へとやって来た。
今はその、作戦会議中。
「近くに良さそうなホテルを見つけたのニャ。
今日はそこに泊まるニャ。」
「じゃあ、早いけど今日はもう休もうか。
ムサシ、行くぞ?」
「え、えぇ。……あ……っ。」
「危ないっ!!」
突然、立ちくらみがして倒れそうになった所を、コジロウに支えられた。
驚いたような心配したような表情で覗き込まれる顔が近い。
気のせいか、その顔が赤い気がする。
「あ……ご、ごめん。その、大丈夫か?本当に。」
「心配しすぎよコジロウは。ただの疲労よ。
寝たらよくなるって!!ほら、ホテル行くんでしょ?」
そう言うと1人でスタスタとホテルに向かう。
とにかく、自分が弱ってる所を誰にも見せたくなかった。
「ムサシ…心配ニャ……」
「ムサシ……」
後ろから不安げに見つめる2人の視線に、アタシが気づく事はなかった。