NOVEL(etc)
□06 Fragrant orange-colored olive
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「ニールにぃ!コレお嬢様から」
部屋で銃の手入れをしていたニールの元に
彼女は小さな端末を手にして入ってきた
ベッドの前の机にはパーツごとに分けられた彼の愛銃と、新しい読みかけの本が置かれている
「お、ありがとな、ネーナ」
彼は彼女から端末を受け取り、あっという間に銃を組み立てなおすと
端末に入れられたデータに目を通し始めた
ネーナはベッドに腰掛けていた彼の横にポスン、と座ると彼の手元をのぞき込む
「なに?それ」
「前々から話があった俺のサポートロボットの資料だよ」
「ああ、にぃに狙撃に集中したいからサポートロボット欲しいって言ってたもんね」
「ああ、ハロと同じ形にするみたいだな、色はこっちで選ばせてくれるみたいだ」
何色にするの?と彼女がワクワクと彼の顔をのぞき込むと
彼は暫く考え込んで、ポツリとこぼした
「青か緑・・・・かな」
「なんで?」
「紫はネーナが持ってるし、オレンジはなんか違う気がするから、青か緑」
「ふ〜ん、あ!じゃあ青が良いな!」
「ははは、ネーナが言うならそうするかな」
彼はそう言ってネーナの頭をクシャクシャと撫でて、キーボードを少し打ってからパソコンを閉じた
「いつ頃来るかな?」
楽しみだ、と笑うネーナに
なんだ、俺のサポートロボット取らないでくれよ?と
彼も冗談半分で笑っていた
(取ったりしない、でも、記憶を取り戻す切っ掛けなんかが出来るようなら、叩き壊してやるの)
彼からは、彼女の暗く光った瞳は見えていなかった
(緑はニールにぃの色だから、だったら青色の方が良い)
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Fragrant orange-colored olive=金木犀
あなたの気を引く
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