NOVEL(etc)
□ハロウィンで会いましょう 03
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『Trick or treat!』
小さな子供が笑いながら私にそう言った
「ごめんなさい、お菓子は持ってないの」
「じゃあ悪戯だ!」
子供はそう言ってニッコリと笑った
ここに座って、と楽しそうな子供の言うとおりに私は子供の前に座った
そうするとさっきより私よりずっと下にあった子供の顔を見上げる形になって
カボチャに開いた首の穴からフワフワした茶色の髪が見えた
「目を閉じて」
どこか優しい子供の声に、私はゆっくりと目を伏せた
そして直ぐにふわりと暖かな腕に抱き締められる感覚
「ごめん、ごめんな
フェルトの思いは俺が一緒に持って行くよ」
ゆっくりと紡がれる声に涙が出た
一つ頷いてゆっくりと目を開く
もう何処にも子供の姿は無かった
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フェルト・グレイス
恋心の昇華
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