NOVEL(etc)

□ハロウィンで会いましょう 04
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『Trick or treat!』



大きなカボチャの被り物を被った子供が俺に向かってそう言った



「手を出せ」



そう言った俺に子供はカボチャの被り物に開いた穴から見える緑色の目をまん丸に見開いた


ほら、と言って子供の手のひらに色とりどりのお菓子を目一杯積み上げると
子供はまん丸に見開いた瞳で俺とお菓子を交互に見つめ、狼狽えている



「お前はこういう行事にかこつけて
俺達を甘やかすのが好きだっただろう」



記憶より遙か下にある子供の顔を見つめた
俺を見詰める翡翠に影を作るカボチャの被り物をそっと外すと
柔らかなブラウンのフワフワした髪と翡翠の瞳の子供が
困ったように笑っていた



「あ〜あ、失敗か」



手のひら一杯のお菓子を見詰め、彼は少し残念そうに、でもどこか楽しそうにそう零す



「まぁいいさ、お前さんも、みんなも、元気そうで安心した」



彼は心底安心したように微笑んで瞳を伏せた



「じゃあな、刹那」



そう言って笑った彼に、咄嗟に手を伸ばしたが
その手はもう何もない空間をさ迷うだけだった



「ニール」



何もない空間にそっと"彼"の名前を呼び掛けた



(嗚呼、お前が見ていてくれるなら、俺は大丈夫だ)



遠くで、子供の優しい笑い声が
聞こえた気がした



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刹那・F・セイエイ
"彼"の意志と



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