もう少しこのままでいたかった。どうして圭一くんはいないのかとか、魅ぃちゃんはどうして死んじゃったのかとか
そんな考えを一切遮断させて、生きてるんだか死んでるんだか分からない変な気持ちの浮遊感のまま、残されたこの世界へさよならしたかった。
本当は言いたいこといっぱいあったのに。みんなに感謝してるとか。
私みんながいるおかげで、私でいられるんだよなんて、そんな意味わかんないって笑ってくれること、本気で言いたかった。

何故私だけ残されたんだ。

みんなはそっちでなにしてるのかな。私おいていっちゃうなんてひどいなあ。遺品とか見てたら、本当にまだそこにいるような気がして
みんなを探しちゃったの。
ばかだなーって言って。レナって言って。ほらほらほら。

うそ、ぜんぶうそ。

みんなもういないの。私だけしかいないの。どうしてかなあ。かな?
ああほら、すごい久しぶりにこんな水がでてくるよ。みんなを抱きしめる力もないよ。

ねえ見てるオヤシロ様?オヤシロ様がやったことなの?みんながなにをしたの?
どうして私だけ置いていったのですか。どうして私なのですか。

分かってる、分かってる。

私一番汚い人間で、嫌な人間だから。だから私だけ置いていったんですよね。
私が一番傷つくように。

でもねありがとうオヤシロ様。少しの間でも幸せの「レナ」でいられたから。

だからもう許してください、ごめんなさい。私やっぱりみんながいないとだめな「レナ」なんです。

ごめんなさい、ごめんなさい。





昭和58年 自殺を図った少女の日記から



(20080905)

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