海のお姫様

□第3章
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―Jay side―

僕はエリウスさんに上着をかぶせて、村の外に出た。
歩いている間、彼女は震える手で僕の手を握りつづけていた。
明日まで続くと思っていた雨はすっかりやんでいて、雲ひとつない星空が空に描かれていた。
「雨、やみましたね」
「そうですね」
少し落ち着いたようでもう泣いていない。
「…僕のこと、人間だと思っていますか?」
僕は彼女の言葉を思い出しながら言った。
(きっとエリウスさんは人間不信になっているんだ…)
「もちろんです。だってもこもこしてない…」
僕は少し笑ってしまった。
「そうですね、もこもこはしてないですね。エリウスさんは人間にどう接したらいいのか分からないって言ってましたよね?」
「はい…」
「なら、僕のことは人間だと思わなくていいです。もこもこしてないモフモフ族だって思ってください」
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