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□Prologue2:旅兵/虚ロナ過去
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コウジンタウンに着いた2人はポケモンセンターに向かった後、カセキ研究所に足を運んでいた。何やらチェスターが研究所に用があるらしく、ジェイドも半ば強引にチェスターに引きずられながらも研究所を訪れる。するとチェスターは研究員に2つの化石を渡し、研究員が奥の部屋に消えた。



「アゴとヒレの化石、どっちだ?」

「...どういう意味だ?」

「いいからどっちか決めろ」

「.........アゴ」

「アゴだな、わかった」



意図が掴めずそう呟いたジェイドにチェスターが返事をした。
しばらく待っていると研究員が奥の部屋から現れ、2つのモンスターボールを差し出す。



「頼まれた化石の復元は無事に成功しました!こちらがアゴの化石から復元したチゴラス。そしてこちらがヒレの化石から復元したアマルスです。大事に育ててください!」



チェスターがアマルスのボールを手に取り、チゴラスのボールをジェイドに差し出した。困惑して目を細めるジェイドにチェスターが告げる。



「さっきのバトルの礼だ。お前にそいつをやるよ」

「.....チゴラス、か」



ボールに入ったチゴラスを見、ジェイドが呟く。初めて見るポケモンにチェスターはボールを指さしながら説明した。



「そいつはいわとドラゴンタイプの大昔のポケモンだ。自慢の顎でなんでも噛み砕いちまう、凶暴なポケモンで育成もなかなか大変だが...まぁお前なら難なく育てられるだろ」

「.......お前のポケモンは?」

「オレか?オレのはアマルス。こいつも大昔のポケモンで、いわとこおりタイプだ。チゴラスとは正反対で大人しくてあまりバトルを好まない。なんだ?アマルスの方が良かったか?」

「いや.....ただ聞いただけだ」



ポツリと呟くジェイドにチェスターは眉を顰める。ジェイドは行こうと言ってすぐに研究所を去ろうと歩き始めてしまった。

研究所を出てすぐに草むらへと向かうジェイドにチェスターが後ろから声をかける。



「お前っていつもそんな調子なのか?」

「...これが普通だが」

「ふーん...あんまり喋らねぇし何考えてるのかよく分かんねぇんだよなァそれ」

「.....」



話しかけてくるチェスターを無視して草むらの前で足を止めるジェイド。すると草むらから野生のマーイーカが出てくるのが見えた。



「お、マーイーカか。エスパーとあくを持つ複合タイプのポケモンだ。捕まえるのか?」

「...捕獲も含めるが、チゴラスを試す」



そう言ってチゴラスを繰り出したジェイド。マーイーカがチゴラスの存在に気がついて戦闘態勢になった。



「ステルスロック」



はじめてバトルに出したチゴラスはジェイドの指示を素直に聞き入れて技を繰り出す。尖った岩がマーイーカの周りに転がり透明になって消えた。マーイーカは危険を察知してサイコウェーブを繰り出す。



「躱してかみつく」



ジェイドの指示でチゴラスがサイコウェーブを避け、マーイーカに突進して噛み付いた。



「そのまま地面になぎ倒せ」



噛み付いたマーイーカを離さないままチゴラスが地面にマーイーカを叩きつける。すると透明になっていた尖った岩がマーイーカに食い込みダメージを蓄積させた。
マーイーカが痛みに飛び起きてイカサマを繰り出す。素早い攻撃を食らったチゴラスがよろけた。



「げんしのちから」



チゴラスが大岩の念力で持ち上げてマーイーカに放った。マーイーカが大岩を食らって地面に転がる。
すかさずジェイドがモンスターボールを投げ、マーイーカをボールで捕獲した。3回ボタンが点滅し、捕獲完了の音がなってモンスターボールの振動が止まる。様子を見ていたチェスターが嬉しそうに言った。



「お、やったな!まぁお前程の実力なら当然捕まえられるか」

「.....チゴラスはなかなか骨のあるポケモンだな。確かに育てがいがある」



素直に喜ぶチゴラスをジェイドは静かに見つめた。その目に殺気や憎悪は無く、寧ろ優しさの色が見え隠れしている。マーイーカを捕獲したボールを拾い上げてバックにしまった。チェスターがふと疑問に思い問う。



「お前図鑑はどうした?」

「.....シンオウを旅立つ時に置いてきた」

「置いてきたァ?」

「...どの道新種のポケモンがいる地方に図鑑を持っていったとしても、更新されていない図鑑では登録もできない」

「はァ、めんどくせ...。んじゃあ図鑑無しで旅するのか?それはキツイだろ」

「...問題ない。全て覚えればいい」

「覚えるって、無茶苦茶言うな...」



淡々と答えるジェイドにチェスターは頭をかいた。そして仕方なさそうに溜息を吐くと胸を叩いて言う。


「ま、オレも図鑑なんざ持ってねぇけどこの地方出身だしそれなりにポケモンの事は分かるからな!」

「.......」

「だからオレがいればこの地方のことが分かるってことだ」

「...鬱陶しい」

「ア?今なんつった!」



ジェイドのうんざりした呟きにチェスターが突っかかる。奇妙な2人の出会いがこの先の未来を大きく変えていく事を、まだ知らない。
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