泡沫人
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「宗方誠治の息子だと……?」
「……ええ、ほぼ間違いなく」
日本古風を思わせる屋敷の一室で真田と男が対話していた。
真田の畏まった態度から見て分かるように、相手は上の人間のようだ。
「興味深いな」
「隠蔽はなされておりますが、宗方誠治には本家黙認の愛人がいます。その愛人との間に高校生になる息子がおり、家を出てからは伯父である葛西の元で生活をしていたと――」
「成程な。だから、無条件で引い入れたという訳か」
「いえ……それをヌキにしてもひどく肝のすわった男で――それに何よりも、似てるんですよ。あの眼が――」
真田の思わせ振りな言葉が静かに響く。
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