光差す旅路の先

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 天上界、観世音菩薩の自室にて、新聞を広げている菩薩の背に話し掛ける。



「菩薩様、何故あの五人に地上の道を行かせたのですか。天竺までならば空の航路が最もてっとり早いはず」


「ただ天竺に行くだけならな。真の目的を遂行する為には今のあ奴らでは、実力も連帯感も極めて乏しい。その為の試練だと思えば多少の苦難の旅路もよかろう」


「流石、そこまでお考えでしたか」


「――なんてな」



 菩薩の言葉にほっと胸を撫で下ろしたところに、全てを台無しにする言葉を言い放つ。



「その方が面白そうだからに決まってんじゃん」


「――か…観世音菩薩……」



 妖艶な笑みを浮かべる菩薩にまた頭を悩ませることになる。




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