光差す旅路の先

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「……あーあ、ひと雨来るな。こりゃあ」


「宿か何かに着くまで間に合うかな」



 空には黒雲が立ち込め、稲光がゴロゴロと喉を鳴らしていた。
 幌の付いていないジープに今降り出されると皆揃ってずぶ濡れになってしまう。



「賭けるか? 無理な方に千円」


「俺も」


「オレもっ」


『じゃあ、わたしも』


「だから……掛けになってませんって……」



 いつも通り安全運転をしている八戒が呆れたように言う。
 分かり切っている天候に無謀な賭けはしても意味はないのだ。


 悟空から何かを感じ取ったのか悟浄が訝しげに声を掛ける。



「――どうした、悟空?」


「ん、いや……なんかさっきから変なニオイがする」


『あっ、悟空も? わたしも雨の匂いに混じって鉄みたいな匂いが……』


「そう言えば……」



 周囲の異変に気付いて皆が周りに視線を向ける。
 突如、急停止したジープにわたしは反動で前の座席に額を打ってしまった。



『いった――』


「!? ちょっと……皆。あれを……!!」



 八戒が示す先に目を向けた。あまりの光景にわたしは声も出なかった。



『――⁉』


「――おい、何だよコレ……」



 眼前に広がるのは無数の妖怪の死体はわたしたちが普段目にするのとは違い異様なものだった。
 全ての遺体には至る所に札の様なものが張り付けられているのだ。そして、腐り掛けた死体は血の匂いに混じって腐臭を放っていた。





――これから先に待ち受ける運命を





――わたしたちはまだ知らない





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