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□延々勘違
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気づかなければよかった。
こんなに後悔するくらいなら知らない方が良かったし、きっとクダリにとってもそうだったでしょう。
気になっていた物がわかってすっきりするはずが、こんな不快感しか残らないなんて予想外です。
無理やり例えてみるなら、やけに尻尾の短い猫をみた時とか、真夏なのにスーツを上下しっかりきこなしている方とすれ違った時のよう。
少し疑問に思ったあと答えがわかって幻滅するのです。
心ない飼い主が猫を暴行している現場を目撃してしまい、先程すれ違った方が葬儀中のお寺に入って行く。
すっきりしない。
何も面白い答えなどない。
それと同じこと。
クダリが私にだけひどい事を言ってくるのは私の事が嫌いだから。
どんなに近づこうとどんなに笑いかけようとそれ以上に進まないのは、私の事を避けているから。
私はダメな兄できっとクダリにとってはそんなことは当たり前のことで、今さら改めて考える事でもないはずなのに。
ああ。
どうしてこんなに答えはいつも残酷で後悔ばかり募るのでしょう。
この答えが出たとき、私はまた失望と後悔をするのでしょうね。
どうかクダリが私の疑問ごと私を愛してくださればいいのに。
なんて。
言ってみたら答えは分かっているので言わないんですけどね。

僕の兄さんは頭がいい。
だいたいの事は誰かに教わらなくても出来てしまうし、理解してしまう。
僕なんかが心配したり気にかけたりする必要なんてないくらいノボリ兄さんは完成されている。
だからかな。
何かを理解した瞬間に顔をしかめるのは。
何を兄さんが考えたのか分からないけどきっと良くない答えが出たんだろうね。
だけどその答えが間違ってる可能性を僕は捨てきれない。
近所で最近見かけられる遠目だと猫によく似た野生のタヌキだとか、お盆の挨拶回りでお寺を回り歩いてる営業マンとか。
そんな感じ。
頭がいいからって誰も兄さんに何かを教えようとはしない。
だけどそれじゃ駄目なんだ。
僕は兄さんが大好きだから兄さんが何か間違っていたら直してあげたい。
兄さんは完成されてるけど完璧じゃない。
声を荒げる事も度々あるけど兄さんが間違った答えを出さないように正せるのは僕だけだから。
それに僕以外の人に兄さんを否定されたくない。
大好きな兄さんが間違った答えを出していつか僕の前からいなくなってしまうかもなんて馬鹿な僕は考えてしまうけど。
せめて兄さんのしかめっ面が少しでも減るように願って、今日も僕は間違いを指摘する。

僕は兄さんが大好きです。

END


このあとも延々とクダリは気を使ってそんなことを言っているんだ。
とか勘違いします(笑)
そしてポケモンの世界に猫やタヌキはいるんだろうか。



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