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□二人分、買ってきたよ
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「ただいまー」
「おかえりなさいまし。夕ご飯の準備出来てますよ」
「やったー!ノボリ大好きー!」
そう言って飛びついてきたクダリは強風に吹かれたせいかとても体が冷えておりました。
今日はすき焼きに晩酌も付けておりますのできっと体も温まることでしょう。
べりべり鳴りそうなくらいきつく抱きついているクダリを剥がして着替えてくるように促せば、クダリが持っているビニール袋が目に入った。
「何を買ってきたんですか?」
聞いてみると、ぱっと目を輝かせてガサガサと袋を漁りそれを私に突き付けました。
ヒヤッとした空気が目の前から流れてくるように感じられて思わず身震いをしてしまいます。
「アイス、ですか?」
「うん!寒い時ってなんか食べたくなっちゃうんだよね」
にこにこしながらもう一つ取り出されたそれは私達と同じような黒と白。
「バニラはぼくでチョコはノボリ!半分こしよう」
「ええ、ご飯の後のデザートにしましょう」
「うん!」
思いがけないお土産に頬が緩みながらも、脱ぎ散らかされた靴を見ながらしょうがないなと苦笑が漏れました。

お題:ひよこ屋様より



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