其ノ弐
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夕刻、多摩郡日野村に到着した私達。
村人の熱烈な歓迎に、驚きっぱなしの私を総司さんは楽しそうに笑っていた。
入隊希望者の数にも圧倒された。
日野への逗留を1日と決めていた土方さんは、翌日近藤さんのみを残し私たちは出発した。
近藤さんは後から追ってくることとなる。
ここで新たに隊に加わった者を含めると300名以上の大所帯へと膨れ上がっていた。
甲州街道を進み、脇道に広がる林で暫し休憩をとることになった。
『千鶴、足は平気??少し見せてね』
「そ、そんな!!大丈夫ですよ?」
と彼女は言ったものの…やはり少しむくんでいた。
『女の子なんだから、もう少し気をつけなければね。・・・・まぁ、そう言っていられないのも現実よね。』
近くにある石に座らせ、袴から足を出させた。
『少しくすぐったいけど、我慢してね。』
「―――…黎音ちゃん、慣れてるんですね。」
『そりゃね。任務のときは大抵2人で長距離を移動したりしていたもの。』
丁度な力加減で、彼女の足を揉み解していると
「近藤さん、まだ追いついて来ねぇな。―――ったく、今回の甲府行きを旅行かなんかと勘違いしてんじゃねぇのか?」
怒気を含みながら、新八さんは街道を振りかえり苦々しい表情を見せていた。