其ノ壱
□02
1ページ/1ページ
あの日から1ヶ月・・・
無事日本へ逃れることができた。
幸い、母が日本人だったので会話には不自由はしなかったが・・・
容姿が金髪・碧眼で女という理由から、行く先々で不貞な輩に絡まれた。
まぁ、その都度ねじ伏せてきたが・・・
あまりこの格好は望ましくないようだ。
そう考えていると、ふとカバンが気になり中をみてみる。
レティの用意してくれた荷物の中には、母の高価な布と手紙が入っていた。
『レティ・・・』
とりあえず読んでみることにした。
[この布を売って男物の着物を買いなさい。 母]
『―――・・・ですよね。』
感動的な手紙が入っていると期待した私が恥ずかしい。
近くの店屋で布と服を交換してもらい、早速着替える。
『(やっぱり、髪の色が異質だな。)――おじさん、この黒く薄い布もちょうだい。』
奥で着替えさせてもらい、店を出た。
男装し、黒い布を頭にかぶせたのだから
もう絡まれまい・・・と思ったのだが。
なぜか絡まれた。
・・・からねじ伏せた。
そうこうしている間に、京に着く。
『やばい・・・どこに行けばいいのか分かんない。今日も野宿かな〜?』
トボトボと歩いていると、大通りから微かに自分と似た気配を感じる。
路地裏から慌てて大通りへ走っていくと、浅葱色の羽織を着た青年にぶつかってしまい、豪快に尻餅をついた。
「痛いな〜。君大丈夫?怪我してない?」
青年は私の腕を掴み、ゆっくり立たせてくれる。
『――はい。大丈夫です。いきなりぶつかってしまってすみませんでした。
あなたこそ、お怪我はありませんか?』
声を低くして、そう尋ねると「大丈夫だよ。」と微笑んでくれた。
「慌ててた様子だけど・・・?」
少し真顔になった青年は問いかけてきた。
『―――・・・故郷を追われまして、ここまで逃げてきたんです。』
「ふ〜ん。」
絶対怪しまれてる・・・。
いや、見た目からして怪しいですよね!!!
黒い布で頭隠してるし。
すると青年は何か思いついたように話してきた。
「ねぇ、君。ちょっと僕と一緒に来てくれる?僕は新選組の1番組組長の沖田総司。君の名前は?」
『へっ?黎音です。』
「黎音君ね。じゃあ、行こうか。」
私は訳も分からないまま1番組に連れられ、新選組の屯所へ向かう。
ここから私は新選組の人たち、1人の女鬼に出会い、運命をともにする。
―――きっとそれが、私の宿命だから