其ノ壱

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あの日から1ヶ月・・・

無事日本へ逃れることができた。

幸い、母が日本人だったので会話には不自由はしなかったが・・・

容姿が金髪・碧眼で女という理由から、行く先々で不貞な輩に絡まれた。

まぁ、その都度ねじ伏せてきたが・・・

あまりこの格好は望ましくないようだ。

そう考えていると、ふとカバンが気になり中をみてみる。

レティの用意してくれた荷物の中には、母の高価な布と手紙が入っていた。

『レティ・・・』

とりあえず読んでみることにした。

[この布を売って男物の着物を買いなさい。 母]

『―――・・・ですよね。』

感動的な手紙が入っていると期待した私が恥ずかしい。

近くの店屋で布と服を交換してもらい、早速着替える。

『(やっぱり、髪の色が異質だな。)――おじさん、この黒く薄い布もちょうだい。』

奥で着替えさせてもらい、店を出た。

男装し、黒い布を頭にかぶせたのだから

もう絡まれまい・・・と思ったのだが。

なぜか絡まれた。

・・・からねじ伏せた。



そうこうしている間に、京に着く。

『やばい・・・どこに行けばいいのか分かんない。今日も野宿かな〜?』

トボトボと歩いていると、大通りから微かに自分と似た気配を感じる。

路地裏から慌てて大通りへ走っていくと、浅葱色の羽織を着た青年にぶつかってしまい、豪快に尻餅をついた。

「痛いな〜。君大丈夫?怪我してない?」

青年は私の腕を掴み、ゆっくり立たせてくれる。

『――はい。大丈夫です。いきなりぶつかってしまってすみませんでした。
あなたこそ、お怪我はありませんか?』

声を低くして、そう尋ねると「大丈夫だよ。」と微笑んでくれた。

「慌ててた様子だけど・・・?」

少し真顔になった青年は問いかけてきた。

『―――・・・故郷を追われまして、ここまで逃げてきたんです。』

「ふ〜ん。」

絶対怪しまれてる・・・。

いや、見た目からして怪しいですよね!!!

黒い布で頭隠してるし。

すると青年は何か思いついたように話してきた。

「ねぇ、君。ちょっと僕と一緒に来てくれる?僕は新選組の1番組組長の沖田総司。君の名前は?」


『へっ?黎音です。』

「黎音君ね。じゃあ、行こうか。」

私は訳も分からないまま1番組に連れられ、新選組の屯所へ向かう。







ここから私は新選組の人たち、1人の女鬼に出会い、運命をともにする。


―――きっとそれが、私の宿命だから

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