其ノ壱
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慶応二年 九月
京を大混乱に陥れた【禁門の変】のあと・・・。
幕府は長州藩を朝敵とし、各藩に長州征伐の命令を出した。
幕府は長州藩を取り潰すつもりだったが・・・薩摩藩などの調停により、藩そのものは何事もなく存続していたのだった。
一時、長州藩の動きが収まっていたかのように見えたが・・・
今、幕府に対して礼を欠いた行いが目立ち始めていた。
幕府から長州藩へ詰問する使者が向かう事になり、新選組からも近藤さんが同行することになった。
・・・・・長州藩はというと、その命令を徹底的に無視し続けた。
―――――そして
「お、おいおいおい!!!皆、大変だ!!!」
『・・・?新八さん、どうしたんですか?』
いつもと変わらぬ、晴天。
屯所内に新八さんの声が響いた。
「巡察の最中、不逞浪士にでも出くわしたか?」
左之さんが険しい表情で尋ねる。
「それどころじゃねぇ、家茂公がなくなったらしい!!!」
「「「「「『―――!!!!!』」」」」」
――――徳川幕府14代将軍、家茂公!?
新八さんの言葉を聞いて、みんな目を見開いていた。
「そりゃ、本当か?何もこんな時に・・・・・。長州征伐は、どうなっちまうんだ?次の将軍は、もう決まってるのか?」
「そのあたりは、よくわからねぇ・・・けど。」
そう、今・・・第二次長州征伐を行っている真っ只中なのだ。
「大将なしで戦争するってのは、さすがにな・・・・。兵隊の敷も上がらねぇだろ。」
軽く舌打ちをする左之さん。
日本はこれから・・・・どうなるの?
新選組・・・は?
そのあと、家茂公の訃報を聞いた各藩が戦線離脱したりした。結果、幕府軍は大敗北という衝撃的な結末を迎えた。
揺らぐことを知らない幕府の存在が、大きく軋み始めたのだ。