[Aoex【BL】]
□・青焔の果て. 3
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「それでは☆」
緊迫した空気の中、道化師の用な男__メフィスト・フェレスは一人陽気に声をあげた。
「奥村燐くん、今日は貴方が物質界の英雄として永遠に語り継がれる為の
記念の日ですね☆」
「………そうだな。」
奥村燐と呼ばれた少年が、半ば呆れたように答える。
「…コホン、では儀式…といっても簡素なものですが__始めましょう。」
「…おう。」
「ではまず燐くん、このカッターで手首を切ってください」
メフィストが言うには、サタンしか開けないと言われていた虚無界の門が、サタンの炎を継いだ燐ならば開ける、らしい。
「…ッ」
燐を良く知る友人たちならば否定するであろう、普段の彼からは想像もできないほどの無表情。
「兄…さん…」
彼の弟、奥村雪男は広がる鉄の香りに顔を歪めた。
びちゃ、と血が垂れる音がする。
それを待っていたようにメフィストがお決まりの呪文を唱える。
「…アインス、ツヴァイ、ドライ ☆」
その瞬間、グロテスクと言うに相応しい、自らが悪魔であることを知り、養父が死んだあの日に見た門__虚無界の門が現れた。