「俺の子を孕むか、俺の血肉となるか、選べよ」
□悪魔の囁き〔5〕
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本当に今さらだけど。
リイルさんの羽って、どう生えているんだろう。
パタパタ(いや、バタバタ?)と動いている肉質な羽。
というか!
お姫様抱っこ!!
でも……。
「駅までもうすぐだな」
女性にお姫様抱っこされてるって…。
「なんだよ」
「あ…、いえ」
無事に無人駅に着き、私たちは列車を待っている。
今は動いていない肉質な羽を後ろから見ていた。
服を突き抜けているようにも見えるし、肌から少し浮いているようにも見える。
やっぱり、引っ張ったら痛いのかしら。
そ〜っとそれに手を伸ばすと、威嚇するかのように羽がバサッと動いた。
「気安く触るなよ」
「…すみません」
自分はいつだって、私に勝手に触ってくるくせに。
唇を尖らせながら、心の中でブーブー言っていると、汽車のシュッシュッという音が聞こえてきた。
「わぁ…!」
日本のSLとはまた少し違った雰囲気の汽車。
魔法映画にでも出てきそうなその容姿に、少し興奮する。