「俺の子を孕むか、俺の血肉となるか、選べよ」
□暗闇の先
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※登場人物の名前が『……』になっております。
ソイツはいつも何かを見ていた。
「なあに見てるんだよ」
部屋の隅っこでこっそりといつも何かを見ているソイツ。
俺に話しかけられて驚いたのか、ビクッと体を跳ねさせてこちらを見た。
「なんだ……かよ」
「なんだってなんだよ」
ルームメイトのソイツは、俺よりも後輩なはずなのに、何故かいつの間にかタメ口になっている。
まあ、前からだし、今さらどうのこうの言うつもりはないけど。
ほんと、ここに来たばかりの赤ん坊の頃が懐かしい。
いや、そんなことより。
「…毎日毎日、なにを見ているんだよ?」
ソイツはほんの数年前から俺に隠れてコソコソと、何かを見ている。
長年の付き合い、そして先輩である俺にすら、コソコソとして何かを隠している。
普段は俺の気配に気付いて、魔法ですぐに隠されてしまうが、今日は極限にまで気配を消してソイツに近寄った。
でも、気配に気付かれてやっぱり隠されてしまったが、チラッとだけそれが見えた。