「俺の子を孕むか、俺の血肉となるか、選べよ」
□悪魔の囁き〔10〕
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つかの間の平穏。
それは知性の試験の合格通知が来た時までだった。
合格通知が来て、私がものすごく喜んでいる隣でリイルさんは。
「明日から特訓だ」
イジワルな顔で、そう言ったのだった。
「ま、りょく……」
私はリイルさんから渡された分厚い難しい本を読んでいる。
人間の私には、魔力なんてちっとも無い。
魔力の試験まであと3週間。
基礎魔力術(人間でいうと平仮名を覚えるのと同じぐらい初歩的なもの)というものから叩きこむことにした。
だけど……。
自然の力、声。
万物との交流、問いかけ。
体の内側のエネルギー。
……まずい、全くピンとこない。
魔界には、生まれつき物凄い魔力を持っている悪魔。
または勉強に勉強を重ねて、魔力を得る悪魔。
そのどちらかしかいなくて、ちなみにリイルさんは前者(本人談)。
魔法使いや魔導士も前者。
そして、私は後者になろうとしている。
…映画やアニメで見るような、ステッキと呪文ひとつで魔法が使えたらいいのに。