「俺の子を孕むか、俺の血肉となるか、選べよ」
□悪魔の囁き〔15〕
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悲鳴と逃げる足音が聞こえた。
「キャアアア―!!」
強い風に煽られて、体が地面に叩きつけられた。
「アイコ!大丈夫か!?」
リイルさんが慌てて私の所にやってきて、体を抱き起こしてくれた。
「少しお尻が痛いけど、大丈夫です。それより…」
モクモクと立ち上る煙から大きな黒い影が見える。
どうしよう、私、とんでもないものを出しちゃった?
リイルさんの腕の中で、不安になってドキドキしていると、また声が聞こえた。
『ここに来るのは…1000年以上ぶりだな』
『ダレだよ呼び出したやつ!』
楽しそうな声と、少し怒っている感じな声。
2種類の声がすると思ったら、やっぱりその通りで。
「ケルベロス…」
リイルさんがそう呟いたと同時に煙が消えて、2つの犬の頭を持った巨大な魔物が出てきた。
……2つかと思ったら、1つ地面で目を閉じている頭もあった。
つまり3つの頭。
私でも聞いたことはある、ケルベロスって名前。
いや、でも。
私、ケルベロスを出そうとは全く思ってなかったんだけど…。
って、ケルベロスってどんな魔物なのよ!