「俺の子を孕むか、俺の血肉となるか、選べよ」
□悪魔の囁き〔1〕
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なんだろう。
胃の中で何かが大合唱を始めている気がする…。
回復どころか、悪化してるのでは。
そう思いながら私は、マグカップを、自称悪魔さんに渡した。
「お礼は?」
「…ありがとうございました」
「よろしい」
正直、あの飲み物を出されたことに対し、お礼など言いたくなかったのだが。
私に背を向けて、どこかへ行ってしまう自称悪魔さん。
私は息を少しゆっくりと吐いて、状況を確認する。
今いるのは、あの森っぽいところじゃなく、自称悪魔さんのお家の寝室のダブルベッドの上。
どうやら私は介抱されたらしい。
「………」
部屋の中を見渡す。
壁にかけてある時計を発見した。
今、何時なんだろう。
だけど、時計を眺めた瞬間、鳥肌が立った。
見たことのない文字に、針が5本動いている。
1本は秒速のように見えるけど、あとの4本は動いてなかったり、不規則に動いている。
なに…?
なんの時計なの?
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