BLEACH 零

□解散
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香姫が出て行った後、三人はその場に立ったままだった。

「副隊長…」

最初に声を出したのは思いつめた表情の仁で、薫もまだ放心状態だったが、呼ばれたので咄嗟に返事をする。

「はい」
「あの時…、陸人が出て行けば姫は陸人に刃先を向けたと思いますか?」
「ああ、そうだろうな」
「私達は…どうすればいいんですか?…っ…」

涙をポロリと零す仁に、意外にも薫は微笑んだ。

「平気だ いずれ零番隊は復活する」

仁と陸人は先ほどからの展開についていけず、薫の言葉の意味を理解するのに時間がかかる。
それを察してか薫は話しを続けた。

「…なぜ、零番隊の規則は全て守るのに護廷十三隊に所属するんだ?俺達が入れば隊長クラス…なのに義務でこの霊圧制御装置までくれた」

手に渡された箱を開けてその装置を見て、苦々しい顔をする。

「まるで目立つことを避けろ、席官には入られると困ると言ってるみたいだろ? つまり俺達は零番隊に戻る時があるということ…そう思うだろ」

陸人は訳がわからず頭を横にするが、仁は少しの可能性に安堵した。
しかし疑問点はまだある。

「でも…姫は、どうなるのでしょうか?」
「姫こそ問題ない 手放す筈がないよ」
「ですがっ…」
「なぁ仁…安心しろ 俺達はまた姫の下で働く だから研鑽するんだ…次こそ護れるように」
「つまり、またここに戻れるんだよな」
「ああ、それは間違いない 姫とは会えなくなるが俺達は一年に一度、この日にこの部屋で会おう 二人とも元気でな」

そう言って、薫は二人の頭をポンポンと叩き隊首室から出て行った。


パタン――



二人は薫が出て行った扉を見ながらボーっと立ちつくす。
陸人は隣で肩を震わす仁に「泣けば?」と言った。

「っ…、うるさい!!」

仁は思わず斬魄刀を構えて陸人の首に置く。
陸人は避けもせず自分を睨みつける仁を首を動かさないようにして目線を彼女に向けた。

「あんたなんか!姫が刀を抜こうとした事も分かってなかったくせにっ!!」

仁の刀を持つ力が強くなり、陸人の首にはうっすら血が滲む。

「それで…仁がオレを斬れば気が済むのか」
「……行ってよ さっさと出て行って」

仁は刀を離して陸人から顔を逸らした。

「あぁ?何だその言い草は?」
「うるっさい!!!」

気持ちが昂ぶる仁は陸人に殺気を飛ばす。あと一言何か反論したら仁は本気で斬ってくると陸人でも分かった。

「…じゃあな!!」

陸人は隊首室を腹を立てながら出て行った。
彼の足音が聞こえなくなるまで仁はその場に立っていて、聞こえなくなったのと同時にその場に崩れるように座りこむ。

「うっ…姫っ……うう、香姫隊長ッ!」

ダンっと床を強く叩きつけて大声で泣き始めた。

廊下を歩いていた陸人は、窓が空いていたので仁の泣き声が聞こえてしまう。
馬鹿な奴…と思いながら陸人は自分の荷物と書状を持って用意された隊舎へ向かった。

それと同じ時、薫は執務室の扉を開けた。




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