BLEACH 零

□過去(香姫編)
現在(薫、仁、陸人編)
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静かな日常

あの人との思い出…



『振り返れば (薫編・十二番隊)』





〜技術開発局・研究室〜


「お前の名前何てーの?」
「紫堂薫です」

阿近は薫の後ろで煙草を吸いながら近づいてきた。
薫は作業を止めてクルッと振り返る。

「そうか…で、何してんの?」
「現世を覗いています 少し気になることがあるので」
「毎日ここで飽きねぇのか」
「全く」
「物好きだな」

阿近は煙草をまた一口吸った。

「皆さんそうですよね」
「まぁな」

クッと笑う阿近。

「阿近さんは毎日忙しそうですよね」
「色々うるせーし、要望があるからな」
「それより何か用ですか?」

相手に嫌味だと分かるように薫は言った。

「ああ、少しお前が気になってな」
「?」
「お前だろ 新薬を作り上げて開発途中の商品を半日で仕上げたの
名乗らねえ理由は知らねえけどいい仕事するな」
「…ありがとうございます」
「どうでもいいが一人でいてつまんなくねぇの?」
「とくには…一人は慣れていますし、今まで騒がしい所にいたので平穏な生活を楽しんでいます」
「あっそ ああ、もう一つ、…局長には会ってないみたいだがそのピアスはどうした」

ニヤリと笑いながら自分の耳を指差す阿近。

「貰い物です (…まさか気づいた…)」
「へぇ 貰うにしてはすげぇもんだよな」
「ただのピアスですよ?」
「…またな紫堂」

煙草の煙が阿近を包み、研究室から出て行った。




―――1ヶ月が過ぎた頃…


薫は自分の研究室にふらりと訪れる阿近を少し警戒しながらも、徐々に打ち解けあっていった。




〜隊舎の廊下〜


「オイ 飯食いに行かねーか?」

いきなりすれ違った阿近に言われ、薫が「はい」と答えると阿近は足を止める。

「断るかと思ったぜ」

ニヤッと笑う阿近。

「いえ、食事は人が居た方が好きですので」
「そうか 変な奴だな」
「そうですね あの、先に浴場行きませんか?」
「ああ、いいぜ」

二人は新しい研究の事など会話を弾ませながら浴場へと向かう。





〜浴場〜


仮面を外して服を脱ぐ薫。阿近は初めて見た薫の素顔を見て驚く。

「んだよ、もっとすげえの期待してたぜ ただのいい男かよ」
「そうですか?」
「ああ、女が放っておかないだろ」
「そんな事ありませんよ 阿近さんの角の方が不思議ですよ」
「ああ、コレ? まぁ色々と」
「フッ…そうですか」

薫は、軽く笑った。
二人は洗面用具を持ちお風呂へ行く。

「お前モテるだろ」

阿近は隣にいる薫の水に濡れた姿を見て言った。

「いえ、女性は苦手です ある女性には初対面でつまらない顔と言われましたし」

薫はお湯をかぶり頭を洗おうとしていた。

「へぇ ただお前みたいな堅物に限って気になる奴はいんだよな」
「残念…いませんよ」

薫はお湯を出そうとしていたのに、香姫のことがパッと頭をよぎり間違えて水を出していた。

そしてそのまま水をかぶる。

「っ!!」
「今度教えろよ」

阿近はニヤッと笑って浴槽につかりにその場を去った。




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