SEED

□loathing part
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 君に触れたい…

 触れたくない……




『loathing part』





「クルーゼ隊長?」

 ラクスは廊下にいたクルーゼに後ろから声をかけた。

「……」

「……どうかされましたの?」

 返事がなかったため、ラクスはクルーゼの前に来て声をかけた。

「ああ、ラクス嬢。これは失礼しました」

 クルーゼはパッと頭を下げた。

「クルーゼ隊長がこちらにいらっしゃるのは珍しいですわね」

「そうですか?」

「ええ」

「ラクス嬢こそ護衛もつけずにお一人で?」

「はい、あちらに食事に来ただけですので」

 ニコッとラクスは笑った。

「そうですか。私でよければお供しますよ」

「まぁ! ご一緒して下さいますの?」

 パンと両手を合わせてニコニコ笑うラクス。

「ええ、護衛も兼ねて」

「どうもありがとう」

 ニコッとラクスはお礼を言って笑った。

 二人でレストランへと歩いて行く。





〜レストラン〜



「ラクス嬢は決まりましたか?」

 クルーゼはメニューから目を離してラクスの方を見た。

「はい」

「では……」

 クルーゼがスッと手を上げてボーイを呼び注文をする。




―――数分後


 次々と料理が運ばれ、注文したもの全てが揃った。

 二人は静かに食事を始める。

「ラクス嬢にお会いしなければ此処には来ませんでしたが、なかなかいいですね」

「あらあら? わたくしはこのレストランへ続く廊下でお会いしましたので、食事をしにいらしたのかと思っていましたわ」

 クスッと笑うラクス。

「いえ。ただ少し歩いていただけですよ」

「そうですか」

 ニコッとラクスは笑った。

(本当はラクス嬢の姿があそこから見やすいだけだったんだが……)

「前から伺いたかったのですが、クルーゼ隊長の瞳のお色はどんな色ですの?」

「目の色ですか?」

「お気に障ったのでしたらごめんなさい。ただ、どんな色なのかなと気になりましたの」

「フッ、いいえ、仮面などつけているから分かるわけがありませんね」

 クルーゼは少し楽しそうに笑った。

「?」

「薄い青ですかね。ラクス嬢よりは青いですよ」

「まぁ! 青色でしたのね。一緒ですわね」

 ラクスは嬉しそうに答えた。

「ええ、そうなりますね……(コーディネーターに一緒と言われるとは笑い種だな)」

 クルーゼは笑みを隠そうと、グラスを手に持ち口に運んだ。





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