SEED

□二人だけの日
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誕生日の前日は…



『二人だけの日』



「お父様わたくしジュール邸に行ってきます」

「ああ、気をつけて言っておいで。エザリアとイザーク君によろしくな」

「はい」

 ラクスは軽い足取りでジュール邸に向かった。





〜ジュール邸〜



「あら?ラクス嬢お久しぶり」

 玄関前でエザリアとバッタリ会い、エザリアはニコッと微笑んで挨拶をした。

「お久しぶりです。これからお出かけですか?」

「ええ、また今度私ともゆっくりお茶をしましょうね」

「はい!」

「イザークは書斎にいますよ。ではまた」

 エザリアは急ぐように車に乗り家から出て行った。

 ラクスはその間、車を見ながら立っていた。

 玄関が開いているままだったので、使用人達に「一人で行けますわ」と、伝え書斎に歩いていく。





〜書斎〜



 ラクスは書斎のドアをコンコンと叩いた。

「……はい」

 中からは使用人だと思ったのだろう、イザークの少し不機嫌そうな返事が返ってきた。

「失礼しますわ」

 ラクスがドアを開けるとイザークは声で気づいたため驚いた顔でラクスを見た。

「ラクス?」

「驚きましたか?」

「そりゃな」

 ラクスが無邪気にニコッと笑うので、イザークは少しムッとした。

「先ほどエザリアさんにお会いしましたわ」

 ラクスはふふッと笑いながら、部屋に入る。

「ああ」

「今度はゆっくりお茶をしたいとおっしゃっていました」

「母上はラクスが好きだからな」

「はい、わたくしも好きですわ。イザークもエザリアさんも大好きですわ」

「なっ…何を言うんだ」

 サラリと言ってのけるラクスに、イザークは一人でアタフタした。

「今日は何を読みましょう……」

 ラクスはそんなイザークに気づかずに、本を選ぼうと棚を見ていた。

「フン」

 イザークはそんなラクスを見て少し微笑み、読みかけの本を読み始めた。

「これにしましょう」

 ラクスはスッと本をとり、ラクス専用の椅子に座った。





―――数分後

 ラクスは少し本から目を放して、自分の好きな人を見た。

 大きな窓のすぐ側にあるソファに悠々と座り、彼は本を読んでいる。

 外からの暖かい日差しを受け髪は輝き、時折、足を組み直す仕草は優雅だった。

「ふふっ」

 ラクスはその光景を見るのが好きだった。

 ただ、いつもはずっとその光景を見ていても飽きないのに今日は何故か立ち上がる。

 そして、イザークの後ろにソッと周りラクスはそのままギュッと抱きしめた。

「ッ、ラっラクス??」

「はい?」

 ラクスはいつもと変わらない返事をした。

「何を……」

「お嫌ですか?」

「別に嫌だとは言ってない!! だが、その、だな……」

 イザークは顔を赤らめながら話す。

「ふふふ」

 ラクスはそんなイザークの事など分かっているので、イザークの肩に顎をのせてギュッとしたまま嬉しそうに微笑んだ。

 イザークも逆らうのをやめて、目をつむろうとした時

「あら、忘れていましたわ」

 パッと両手を放してラクスはイザークの前に歩く。





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