BLEACH 零
□解散後…(香姫編)(薫、仁、陸人編)
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崩れたあの日…
安らぐ声…
『解散後…(香姫編)』
名前は山田香、性別は男として六番隊に香姫は入隊した。
解散から
約五年後……
〜六番隊隊舎〜
業務時間終了まであと少しの所、香は残りわずかの書類を片づけていた。
「なぁ山田」
「はい」
返事をして自分の机の横に立つ先輩を見上げた。
同じ部屋にいる一番偉い先輩で大きな荷物を抱えている。
「お前予定あるか」
「いえ、無いです もしかして先輩はまた何か用事でも?」
「ああ、そうなんだよ ちょっと頼まれごとがあってさ 悪いがコレ頼むよ」
バサッと香の席には軽く20pは積み上がった書類が置かれた。
「分かりました お疲れ様です」
「ああ、よろしく」
そう言って先輩は帰って行く。
同じ執務室にいる人達もチラホラと帰って行き、部屋には香だけとなった。
いつもの事なので慣れているはずだが、今日は引き受けたことを後悔する。
一度筆を置き腕を伸ばして天井を見上げながらチョコ…と、一言呟いた。
実は誰もいなくなったこの瞬間に食べようとしていたチョコレートの袋を家に忘れてしまい、やる気がなくなる。
仕方が無いので早く終わらせて帰ろうと、また筆を手にとった。
書類整理は苦ではない香は、先輩の仕事を受け取る度に護廷十三隊の隊員はいつもこんなに忙しいのだな…と、的外れなことを思っていた。
入隊する時に香は目立つ白い髪を黒色に染め、特殊な眼鏡(相手側からは目が見えないほど厚く見える眼鏡)もかけて、隊員同士から距離をおく。
目立つようなことにならないよう他人を避けて過ごすことを今までやってきた。
案の定、話しかけてくる隊員は居なくなり意地悪な先輩に目をつけられて仕事を押しつけられるようになる。
それが今も続いていた。
まず香は邪魔な眼鏡を外して、山済みな書類を一枚ずつテキパキと片づけていく。
そして最後の一枚となり愕然とした。その一枚だけ隊長の判が必要なものが混じっていたのだ。
「…最悪です」
香は書類を目の前にして破り捨てたいのを我慢して三番隊隊長市丸ギンを捜すことにして部屋を出る。
「……チョコ…」
歩いて三番隊に向かっていたが、もう限界と言わんばかりに瞬歩を使う。
「………いた」
市丸の霊圧を探ってから再び離れてそこからまた走った。
「業務終了後に申し訳ありません!」
市丸を目の前にして一礼すると香は書類と筆を出す。
「なんや?」
「六番隊隊員山田です 三番隊市丸ギン隊長にこちらの書類の判をお願いしたく呼び止めました」
「へぇ 熱心やなぁ?」
市丸は筆をとりサインを書いた。
「ありがとうございます お手間をとらせまして申し訳ありませんでした」
書類を受け取り一礼をしてその場から離れようとすると、ニヤニヤしている市丸に名前は?と聞かれる。
「こんなかわいい子知らんかったわぁ」
「?」
香は首を横にかしげ、そして眼鏡を触ろうとした……が、そこで眼鏡が無いことに気付いた。
(あ……さっき眼鏡が邪魔で外しましたね)
そのまま香は固まりどう切り抜けようか必死に考え込む。