BLEACH 零

□正体…(香姫編)
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言葉は響く…



深く優しく…





『正体…(香姫編)』





〜六番隊隊舎〜


香姫の執務室



―――お昼休み


「山田君!」

女子隊員数名が香の机の横に立ち箱やら手紙をバラバラと置いた。

「どうかしましたか?」
「あのね? 阿散井副隊長に渡して欲しいの」
「私も…」
「私も!!」
「私も」

自分に話しかけてくる人は仕事を頼む時だけだったので、今回の頼み事に本気で驚く香。

「阿散井副隊長には直接渡しても受け取ってくれないの だから、最近仲が良い山田君にお願いしたいの」
「お願い!」
「お願いします!!」
「そうですか 分かりました 皆さんのお渡ししておきます」
「ありがとう!」
「あの、ですがなぜ僕なんかに頼みのですか」
「それは同じ六番隊だし席官じゃないから頼みやすいし」
「そうでしたか お預かりします わざわざご苦労様です」
「うん、じゃあね」
「あ、はい…」

女子隊員達はズラズラと執務室から出て行った。

「山田君って根暗な人かと思ったけど…」
「きちんとしてたね〜」
「ほんとに渡してくれるかな?」
「えー? 大丈夫でしょう?」

キャッキャとはしゃぐ女子隊員達。

(安易に受け取ってしまったけれどコレは恋次さんに悪い気がします…)

香は恋次を思い出して困ったなぁと思いつつ、いつも通り大量の他の人の仕事をそつなくこなしていた。




―――業務終了少し前


執務室にいる恋次と香。

「すみません恋次さん!」

恋次の机の前でバッと頭を下げる香。

「お前なぁ」
「断りづらくて…」
「ったく まぁ構わねぇけどよ」

徐々に顔をあげる香。

「手紙とか返事出すのめんどくせーんだよ…チッ」

手紙を読んでから筆で返事を書き始める恋次に、香姫は近づいて空になった湯飲みを見て下げる。


「恋次さんは真面目な方ですものね」
「っ…お前はもう少し状況考えろ」
「え?」

首を横に傾げる香。

(二人っきりでんな可愛い顔すんじゃねぇ!!)

恋次はため息をつきながら心の中で叫んだ。
香はお茶を淹れてくるために外に出ようとしたが、それを止めて急いで眼鏡をかける。

「お邪魔するで〜〜」

香が眼鏡をかけた瞬間に市丸が入ってきた。

「市丸隊長?」

バッと椅子から立つ恋次。
同時に香は深々と頭を下げてた。

「阿散井はん吉良見かけへんかった?」

市丸はテクテクと恋次の前まで歩いて来る。

「見てないッス…どうされたんスか?」
「吉良が迷子になってしまって探してたんや」
「そうッスか(…吉良も不憫だな)」

恋次は吉良のいつもの愚痴を思い出して本当に哀れだなぁと思った。
香姫はなるべく気づかれないよう下を向きつつ警戒する。




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