BLEACH 零

□出会い…(薫編)
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二人が初めて出会った日

それは、桜が散り始めた頃の春の終わりだった。



『出会い…(薫編)』





〜隊首室〜



「本日より零番隊副隊長に任命されました紫堂薫です よろしくお願いします」

薫は座っている香姫に向かって頭を深々と下げた。

「零番隊隊長 紅院香姫です よろしくお願いします」

香姫はニコッと笑って立ち上がる。

(これが隊長…)
「あの、失礼かと思いますけれど何故そんなに退屈そうなお顔をしているのですか」
「は?」
「え?」
「普段通りですが…」

あまりに間の抜けた質問に薫は(何だこいつ…)と思っていた。

「失礼しました では薫さん「隊長 さん付けは止めて頂けませんか」
「それでは薫とお呼びしてもよろしいですか?」
「構いません」
「分かりました では薫も私のことを香姫とお呼びください」
「隊長の名を名指しでなど呼べません」

部屋に入った時から他人行儀な薫は全く変わらない表情、そして抑揚のない声で受け答えする。

「では、紅院隊長以外の呼び名でお呼び下さい 」

香姫は挨拶した時のようにニコッと笑って言った。薫は「はい」とだけ答える。

その後、香姫から零番隊についてと仕事内容、隊舎の中の説明、そして住居へと案内された。




〜屋敷前〜



「こちらが零番隊の寮です 今は私一人だけです まずは薫の部屋にご案内しますね」
(同じ場所か…)
「もし、お嫌でしたら寮に入らなくても大丈夫です 隊舎から遠くない場所であれば許可がおりますので」
「あの、嫌とは一言も言っておりませんが」
「失礼しました お顔に出ていましたので、つい…零番隊には私しかおりませんので嫌なものは嫌だとおっしゃって下さいね」

香姫は薫を覗き込みクスッと笑った。

(この女…)

薫は驚きとともに苛立つ。
しかし香姫の周りの空気が一瞬で変わる。
そこから流れる重く静かな霊圧に少しだけ背中が震えた。

「大虚です 行きましょう」

香姫は斬魄刀を鞘から出して解錠。そして、走り出す中でその後を冷静に薫が追う。

「…自由にできるのですか?」
「零番隊隊長の特権です」
「そうですか」

薫は零番隊の特権かと思いきや、違ったので少しだけ残念に思った。





〜現世〜



「薫にお任せします」

「はっ……射ろ 神無月」

薫の始解後、数秒で三体もあった大虚が一瞬で倒された。
その戦い方をじっと香姫は観察し、刀を納めてからの薫に近づく。

「ご苦労様です」
「…いえ」

先ほど放っていた雰囲気とは別人のように変わってしまった香姫に落胆した。

「綺麗な能力ですね 神無月さんこれからよろしくお願いします」

香姫は薫に声をかけた後、刀に目線を下ろし挨拶をしてニコッと笑う。

(さっきのは気のせいか? ま、これからいくらでも見れるだろ)

戦いが見られると思った薫は残念だったが、目の前にいる隊長にほんの少しだけ興味が湧く。

「戻りましょう」

香姫は再び解錠して隊舎へと歩いた。
その後、隊首室に戻るまで香姫が話しかけてくるので、薫はその質問に仕方なく返事をする。
その都度この女は「何を考えているんだ」と思っていた。




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