BLEACH 零

□出会い…(仁編)
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どうか、私の想いに気づいて…




『出会い…仁編』



薫が入って五年が経った頃…

薫はあの日を境によく笑うようになっていた。
そして夏の真っ只中、再び零番隊に新しいメンバーが入る。





〜隊舎前〜



「薫の知っている方かしら?」

香姫は隣に立つ薫に聞いた。

「あそこでは誰一人覚えていないので分かりません」
「そう…でも相手は覚えているかもしれないですね」
「そうでしょうか?」

興味がなさそうに答える薫。

「ええ 薫は素敵ですもの」
「茶化さないで下さい」

香姫の素直な笑顔や言い方に前は慌てていた薫も、今ではやれやれといった感じで言い返す。
二人の関係は良好だった。

隊舎の扉が開いて香姫と薫の笑いあう和やかな雰囲気の中、新しい子は歩いてくる。

「零番隊第三席に着任しました 樋崎仁です よろしくお願いします」
「よろしく 私は隊長の紅院香姫です どうぞ名前でお呼び下さい」
「?…」

挨拶してニコニコ笑う香姫にどう言えばいいのか迷い、仁は返事に困っていた。

「香姫隊長と呼べばいい 俺は紫堂薫 副隊長です」

薫は困惑している仁に向かって話しかける。

「…はい、紫堂副隊長」

思わず目を見開いて確認するように名を呼んだ。
仁は、薫と同じく特殊施設で鍛えられた子供で訓練施設での薫を仁は覚えていた。

「仁さん 薫のこと覚えているの?」
「あ、はい‥」
「ふふ ほら、私の言った通りです」

隣に居る薫に勝ち誇ったような笑みを向ける香姫に「知りません」と、薫はムッとして言い返す。

そんな2人のやりとりを見て仁は本当に驚いていた。

香姫は仁が先ほどから薫ばかり見ていることに気づいていたので、隊舎の案内は3人でするつもりだったが、全て薫に任せることにする。





〜執務室〜



二人は隊舎内を歩き周り最後に執務室に帰ってきた。

「ここが樋崎の仕事部屋だ」
「はい」
「机はそこ 分からないことがあれば聞いてくれ」
「あの…紫堂副隊長は隊長の事をなぜ姫と呼ぶのですか」
「あの人、隊長と呼ばれるの嫌っていなんだよ」

薫は穏やかにフッと笑う。
その姿に先ほどから仁は別人のようだと思っていた。

「私…「失礼 仁さん」

仁が何か薫に言いかけた瞬間、執務室に入ってくる香姫。
突然やって来た香姫を見て、薫はため息をついてから側に寄った。

「まだ休憩には早いです」
「今日は特別です」
「明日はダメですよ」
「分かりました 我慢します あ、仁さん」
「香姫隊長 仁で結構です」

少し冷たく言い放った。

「それは光栄です 紅茶を淹れましたから呼びに来ましたの 今からお茶にしましょう」
「え?」
「うちの隊に入ったからには覚悟しろ…」

薫はソッと仁に耳打ちをする。
何のことかと不思議に思いながら、仁は隊首室へ向かう二人の後ろを歩いていた。



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