BLEACH 零

□過去(香姫編)
現在(薫、仁、陸人編)
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あの頃

光に溢れていた





『過去(香姫編)』





香姫の生まれは貴族である。

上流貴族の紅院(クレン)家の一人娘であり、四大貴族とは家柄のためよく交流していた。

幼い頃に白哉を兄様と呼び屋敷に遊びに行くのはいいが、香姫は体が弱かったため道の途中で倒れることも多かった。
夜一とも知り合いで、姉様と呼び慕っていた。

そして浦原喜助と知り合うことになる。





〜朽木邸〜



いつもの抜け道をつかい香姫は白哉の元へと走っていた。

庭に白哉の姿を見つけ笑顔でその大きな背中へ飛びつく。

「白哉兄様っ!!」

ギューッと抱きついてニコッと笑う香姫。

「あれ〜〜? 何スか?この可愛い子」

白哉の前にいた喜助が後ろにいる香姫を体を横にして覗き込む。

「!?」
「あまり近付くな 浦原」

白哉は香姫の前にスッと手を出した。

「ひどいッスねぇ〜」

浦原は体を戻して苦笑いする。

「兄様? こちらの方は」
「浦原喜助じゃ」

夜一は喜助の後ろから現れ香姫を見た。

「夜一姉様!」

パッと笑顔を向ける香姫。

「久しぶりじゃな 香姫」
「はい、お久しぶりです」
「ほんと可愛い子ッスねぇ〜 おいで!」

浦原は手を差し出して笑った。

香姫は基本的に人見知りはしないのだが、その時だけはギュッと白哉の袖を掴み警戒する。

「鋭いのう香姫は…安心せい、悪い奴なのは当たっておるが大丈夫じゃ 噛みついたりはせんぞ」

夜一が笑いながら香姫に言った。
そんな夜一に安心したのか、香姫は白哉の袖から手を放しそれでもピタリと白哉の横に立って喜助を見上げる。

「浦原喜助 夜一サンとは友達ですよ お見知りおきを」

喜助はわざとらしいお辞儀をしてから言った。

「ふふっ 私は香姫 紅院香姫です」

香姫はそんな喜助を見て笑いながら挨拶をする。

「お近づきの印に…」

喜助はニコッと笑った後に香姫の頬にキスをした。

「!!」

香姫は目を丸くさせて固まる中、白哉はわなわなと肩を震わせる。

「かっかっかっ! 愉快な奴じゃな」
「貴様ッ!何をしている!!」

夜一の笑い声と白哉の怒鳴り声は重なった。

「挨拶ッスよ どうぞ これからよろしく」
「はい……」

香姫は初めて会ったその日、喜助の行動に胸の動悸は止まらなかった。
それから朽木邸で四人が揃うことも多くなる。
鬼事をしたり香姫の体を鍛えるためにも手合わせをしたりもした。

香姫は週に三日は白哉に会いに来ており、雨の日でも白哉の隣で習字を教わったり読書をして過ごす。

その横ではふざけて白哉を怒らせたりしてからかっている夜一と喜助もいて、いつも笑っていた。

楽しい年月が過ぎていく中で香姫の体も成長と共に健康になっていっく。

それから数年後の大雨の日。

突然、香姫の父と母が亡くなった。

瀞霊廷内でも秘密裏の貴族だった紅院家。

紅院の屋敷には護衛の者しか家にいなかったので、急遽香姫は当主を継ぎ、家の事を片付けた。

白哉、夜一、喜助は香姫の所へ心配してやって来てはいたが、香姫の変わらぬ笑顔に誰もが安心する。

そして夜一は隠密機動総司令官に、喜助は護廷十三隊の席官に就任、白夜は学院に入学したばかりでより忙しくなっていったのも同じ時期だった。

あの日…

3人が知らない時、香姫が大事にしていたオルゴールが壊れた…大事にしていた物が壊れる瞬間を二度経験した事により香姫は心を病んでいく。
それはとても簡単に壊れていった。




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