BLEACH 零

□今、再び…
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香姫の嫌な予感が的中し始める。

一年に一度あるかどうか分からないが、現世では不穏な死亡者が出始めていた。
もちろん香姫はその事を知っていたし自分で動こうとしたが、薫達の霊圧に反応してしまい近付けずに過ごす。





『今、再び…』



零番隊が解散して二十八年が過ぎた。

香姫達だけが気づいた奇妙な事件は少しずつ増えていく。
周りの死神も気づき始め、尸魂界全土に噂だけが広がった。

そして三番隊の第五席が亡くなったことで事態はもっと悪化する。
一番隊隊舎では月に一度は隊首会が行われる事態になり、現世へは上位席官クラスのみが行くようにと決まった。





六番隊・隊舎



〜廊下〜


「恋次さん!」
「香 久しぶりだなっ」
「また、現世へ行かれるのですか?」

香姫は久々に見つけた恋次を呼び止め心配そうに恋次を見上げる。

「んな顔すんなって! 変な噂に惑わされすぎなんだよ」

ニッと笑って恋次は香姫の頭をポンと叩いた。

「分かりました…お気をつけて」
「ああ、じゃあな!」

恋次は廊下を急いで走り去って行く。その姿に香姫は唐突に胸をギュッと締め付けられる思いにかられた。





〜十二番隊〜


「どうカネ?阿近」
「局長、興味があるのは分かるッスけど、どれも全く姿が映ってないッスね」
「そうか、なら仕方がないネ…やはりネムを使って調べるのが手っ取り早いネ」
「まぁ近い内分かるんじゃないッスか」

マユリと阿近は研究室で騒がれている事件を追っていた。

別室にいた薫は自分が任された仕事の最終チェックを終え、今まで自分で得た全てのデータと研究結果を完璧に消去する。

「さて、行くか」

薫は少し苛つきながら言う。
そして、つけていたマスクを外してゴミ箱に捨てて一番隊隊舎へ向かった。





〜四番隊〜



急患の患者の治療で疲れ果てた人たちが廊下で眠る。
その中で花太郎が眠る前に仁は座り込みジッと見つめた。

「感謝しています あなたの側は温かく優しく、居心地が良かったです」
「…あ、仁さん…?」

パッと目を開けて目をこする花太郎。

「おはようございます」
「おはようございます…仁さん 体調は大丈夫ですか? 昨日は重病人ばかりでしたから」
「私は平気です 山田班長こそ私達が就寝した後も力を使っていましたが大丈夫ですか」
「え?…仁さん起きてたんですか」

目がまた半分閉じて行く花太郎に仁は心配そうな顔をした。

「少しだけですが…」
「そうですか…恥ずかしながらちょっとしか出来なかったですけど、でも今の所皆さん無事だと思います」
「良かったです けれど山田班長が倒れては元も子もないです ゆっくりお部屋でお休み下さい‥」
「あ…はい、ありがとうございます、気を遣ってもらって…」
「そんなことありません 山田班長だからです」
「え?…あぁ、ありがとうございます…?…」

いつもとは全く違う雰囲気の仁に違和感を花太郎は感じつつ立ち上がる。

「山田班長」

仁は立て膝をつき真面目な顔で花太郎を見上げた。

「え!? どうしたんですか?」
「ありがとうございました」

仁はたくさんの感情を込めて花太郎に言う。

「仁さん?…」

ビックリする花太郎をよそに話しを続けた。

「一身上の都合で本日を持って樋崎仁は隊を離れます」
「えっ?」
「お元気で」

仁は立ち上がり、そう笑顔で告げると花太郎には出来ない瞬歩でその場を離れた。

「…仁さん」

その姿に驚きつつ、ああ、あれが本来の姿なんだなぁとぼんやりと思う。
仁の晴れ晴れとした顔に不安はなかった。




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