黒子のバスケ

□君の笑顔が見られるだけで
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『君の笑顔が見られるだけで』



部活も終わり、黒子はある場所へ向かう。
向かっている途中で携帯を取り出し確認するようにあの日の日付のメールを読み返した。

「分かった」

たった一言。
それだけなのにその返事が嬉しくて何度読み返しても口元が緩む。

彼とまた一緒にバスケが出来ると思っていなかった。
あの日のシュート練習後、彼と別れた後も胸が一杯で足取りは軽く、いつもの景色がやけにはっきり見えたのを覚えている。

次の日、その次の日も二人は会って練習をした。
そしてもう何度目だろうか、黒子は隣にいる青峰を見て未だに信じられない気持ちと、ずっと隠してきた感情が抑えられなくなってきたことも気づいていた。

「青峰くん 最近は学校の練習に毎日参加しているそうですね」
「あ?」
「桃井さんからメールがきました」
「ったく、あのバカ」

クスッと嬉しそうに微笑する黒子に青峰はガシガシと頭をかいた。

(なんでこいつはこういう顔するかな…)

普段無表情に近い黒子が笑う顔に戸惑う。
中学の頃から何度もオレの前だから…と、自惚れていいのか迷ったものだ。
ただあの時離れていったのは自分からで、お互いの距離を邪魔する見えない壁を叩き割りたいと会う度に強く思う。
着替え終わった彼を見て、今日こそはと覚悟を決めて名前を呼んだ。

「テツ!」
「はい、大きな声出してどうしました?」
「あのさっ…」

実際に黒子を前にすると固まる青峰。
何事かと思う黒子は彼が苦々しい表情になっていくのを見て驚いた。そしてもしかしたら…と、以前に考えたことを思い出す。

あの日から毎日会ってはいるが約束はしていなかった。お互い別々の時間に来て、揃えば二人で練習をする。
黒子はもしかしたら彼は来たくない時もあるんじゃないかと、ずっと考えていたのだ。
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