REBORN!

□守りたい笑顔
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忙しない日常の


暖かい君の体温



『守りたい笑顔』



〜イタリア〜


「十代目、お呼びですか?」

獄寺は綱吉の座る机の真ん前に立って聞く。


「この書類を見てくれる?」

そう言って綱吉はチラリと獄寺を見上げつつ、書類を渡す。


「はい」

獄寺は書類を受け取り、読み始めた。


「ところでさ‥今日の報告、何か忘れてない?」

「‥いえ、今日の分の報告は全てお伝えしました」

獄寺は少しドキッとしたが平常心を保って答えた。


「くす、‥昔からウソが下手だよね」

綱吉はその状態をニコッと笑いながら見つめた。


「あの…」

「本当はここにある書類以外にもあるんでしょ?」

「っ…はい、すみません」

獄寺は書類を綱吉に返して謝った。


「何で渡してくれなかったの?」

「昨日は遅くまで起きていらしたみたいですので、こちらで片付く書類のみ省かせてもらいました」

「そう、ありがと でもオレは大丈夫だから 書類、全部持ってきてね」

ニコッと変わらず笑顔で言う綱吉。


「はい‥」

仕方ないという感じで獄寺は項垂れつつ部屋から出ようとした。


「ねえ、そこで一緒にやろう」

「?」

立ち止まりクルリと振り返る。


「手伝ってくれるかな?」

「っ、はいっ! もちろんです! あ、ついでに何か飲み物でも持ってきます」

笑顔でそう答え、一目散に消えて行く獄寺。





―――獄寺が部屋から出て行って数分後。



「今日は忙しいんだけど?」

綱吉は書類から目を離さずに誰もいない部屋につぶやいた。


「クフフ‥おやおや、今日も書類に追われているんですか?」

骸が現れて、綱吉の後ろから抱きついた。


「見て分かるだろ」

「はい 分かります」

返事はいいのだが、骸は離れようとはしなかった。


「ったく、それで今日は何の用?」

慣れているツナにとってはあまり効果はなく、綱吉は黙々と書類を片付けていく。


「つれないですね‥仕方ありません」

ふうっと軽くため息をついて、綱吉から離れて書類を何枚か取り上げ、読み始めた。


「なあ、そろそろ隼人が来るけど、骸も手伝ってくれるの?」

「ええ、たまには手伝いましょう」

「ありがと」

ニコッと笑う綱吉。


(…イタリアに居てもあの番犬とばかり過ごしていて癪ですからね)

本音はそこだった骸。


「そういえば、なぜそんなに急いで片付けるんですか?」

「明日から出張だから」

「それでは護衛に僕が付きましょうか?」

ニコニコ笑って骸は言う。


「今回はディーノさんと一緒に行くことになってる それに、現地では恭弥と合流するけど‥行くの?」

「・・いえ、残念ですが諦めましょう」

骸は明らかに不機嫌になりつつ答えた。


「うん、言うと思った」

クスリと笑いつつも次の書類に手を伸ばして、着実に仕上げていく綱吉。


「失礼しますっ‥骸っ!?」

獄寺は笑顔で部屋に入るが、骸を見て驚く。


「お久しぶりです」

クフフッと笑いつつ、骸は綱吉の真横に立ったままだった。


「十代目の邪魔しにきたんじゃないだろうな?」

「まさか、僕は純粋に綱吉の手伝いにきただけですよ?」

白々しくそう言って、書類の内容を綱吉に話し始める。


(チッ、十代目と2人で過ごせると思っていたのに)

少しむくれながらも獄寺は綱吉の前にお茶とお煎餅を置いた。




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