BLEACH 零

□解散
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支えが無くなれば…

崩れるだけ…





『解散』



〜零番隊隊首室〜


書状を手にした香姫の前に薫、仁、陸人が横一列に並ぶ。
重い張り詰めた空気が部屋を流れていた。

「最終決定が決まりました 零番隊は解散します」

「「…っ!!」」

驚く三人をよそに香姫は微動だにせず、書状に目を向ける。

「何をおっしゃっているのですか?」
「私は嫌です」
「何だよソレ、アイツを殺すんだろ!逃げんのかよっ!!」

薫、仁、陸人はそれぞれ口々に批判したが香姫は顔を上げず書状を見たまま一言静かに「命令です」と、告げる。

「「!!……」」
「異論はありませんね」

香姫は目の前にいる三人の顔を一人ずつじっくり見る。
三人は口をつぐみジッと香姫を見ていた。

「本日をもって零番隊を解散とする
零番隊隊員は護廷十三隊に所属することとする
零番隊副隊長紫堂薫 十二番隊
零番隊第三席樋崎仁 四番隊
零番隊第四席園嶺陸人 三番隊へ各自所属すること「っ…ざけんな!! 俺らが今するべきことは別のことだろ!!」

陸人は香姫の前に出てきて思いっきり怒鳴った。

「下がりなさい」

香姫は冷たく陸人にそう言う。始めてそんな事を言われた陸人は更にカッと怒りがこみ上げた。

「ざっけんなあっ!オレは行く…アイツを殺しにっ!!!」

陸人が霊圧をあげた瞬間、香姫は斬魄刀に手を置いた。

「陸人っ」

グッと陸人を押さえる薫。

(ぐっ…動けない……)

「それは貴方からの命令ですか?」

薫は陸人を抑えながら香姫の目を真っ直ぐ見ながら問いかける。

「はい」

はっきり答える香姫だった。

「取り乱してすみません 俺は従います」

「副隊長っ!?…何で!?」
「仁はどうだ?」

薫は陸人を無視して仁に声をかけた。

「…私も従います」
「お前もかよっっ!?」
「私は姫の命令に従うだけよっ!」
「くそッ!…オレだって……オレも従うさ!!!」

陸人は涙をためながら香姫の方へ向き大声をあげる。
香姫は斬魄刀から手を離すと同時に薫も陸人を押さえていた手を離した。

「続けます…各自各隊の規則に従うこと
但し、零番隊規則 第一条第一項を元に零番隊規則は全て有効とする
霊圧制御装置を各自着用を義務とし、義務を放棄した場合処罰の対象となる
零番隊隊員は紅院香姫との接触を一切禁止とする
以上」

「「っっ!?」」

香姫の最後の言葉に三人は一番動揺していた。香姫はそれぞれに霊圧制御装置を手渡す。

「荷物と書状は机に置いてあります 確認してくださいね
薫…仁…陸人……今までありがとう」

最後に隊長ではなく香姫としてニコッと笑い、彼女は隊首室から出ていった。


パタン――


扉が閉まると同時に、開いていた窓からは春の暖かい風が三人の体を吹き抜ける。
空は青く澄んでいて桃色の花びらが宙に舞っていた。



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