BLEACH 零
□解散後…(香姫編)(薫、仁、陸人編)
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「どしたん?」
長い沈黙に市丸が尋ねた。
「いっいえ…隊長から質問される事なんてありませんので、僕は男ですよ からかわないでください」
「かわええ顔しとるから、女の子やと思ったわ〜…それで何番隊やったっけ?」
「六番隊です それでは失礼します」
一礼して、早足でその場から去って行く。
「またな〜」
市丸はヒラヒラと手を振りながら香の後ろ姿を見ていた。
(…ビックリしました)
市丸の霊圧が届かない所から瞬歩を使い六番隊へと戻る。
あまりに驚いたので商店に寄るのを忘れてしまい、またチョコレートがないことに気づき苛々し始めることになっていた。
〜六番隊隊舎〜
香のイライラは最高潮になり部屋のドアを勢いよく開ける。
バシッッ――
「うおっ!?」
「!…失礼しましたっっ!!」
まさか中に副隊長がいるとは思わず急いで頭を下げる香。
「いや、気にスんな」
「ありがとうございます…」
香は申し訳なさそうに頭を上げた。
「なっ!! (すっげえ可愛い!!)」
恋次は思わず見ていた書類をグシャッとつぶす。
香はそんな恋次をよそに何事もなかったように自分の机にある眼鏡をかけた。
「!…お前が山田香か」
「え?」
「俺、お前に会いにきたんだぜ」
「副隊長が平隊員の僕にですか?」
香はきょとんとして何かばれたのかと少し身構える。
「最近よく見る書類の字がほとんど一緒で前に確認したんだよ それでお前って気づいて…」
(副隊長が見てるなんて…)
香は少し驚きながらもあれだけの書類を見ていた恋次に興味がわいた。そして、素性がばれたわけでは無いことにホッとする。
「それからお前見てたんだけどよ 身のこなしが気品あるよな」
「え…」
「つか俺の知ってる奴にお前似ててよ」
「そうですか…(私に似てる?誰でしょう?)」
「今日はもう終わりだろ 飲みに行こーぜ」
「!?…えっ…僕とですか?」
「何驚いてんだ?」
「いえ、僕と副隊長が一緒にいたら誰でも驚きます…から」
久しぶりに話した相手の人柄と、まさか誘われるなんてと嬉しくなっていた。
もっと話してみたいと思ってしまったことは事実で、その事を恥じて香はしどろもどろになる。
「は? 意味わかんねえ 予定あんのか」
「いえ、ありません…けれど…」
口ごもりながら香は言うが恋次は
「じゃ、行くぞ」とだけ言い、書類を置いて立ち上がる。
「あ、あの、僕はこの書類を渡さないといけないので」
「俺宛てだろ」
「はい、そうです…」
「一度置いてくるから外で待ってろ じゃあな」
「は、はい…」
ガタッと立ち上がる恋次の背中を香は扉の閉まるまで見ていた。
「アイツ…すっげえ可愛い顔してたな…」
恋次はぼそっと言いながら執務室へ向かう。
(思わず行きたいと思ってしまいました…どうしよう)
断れ無かった自分を責めつつ隊舎の外へ歩いていた。