BLEACH 零

□出会い…(薫編)
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薫の生い立ち―――



薫は特殊施設で育った子供である。
零番隊か王属特務になるべく幼少期より教育され、日々そのために訓練を受けてきた。

その事は香姫も聞かされている。

香姫自身は貴族として生まれ、両親の元幸せに暮らしてきた。
両親亡き後も、護廷十三隊に入るために真央霊術院に入学しその後零番隊へと自ら入隊を志願。

二人の生まれてからの生活はお互い知らない世界のものだった。





――――――――――



〜隊首室〜



「初仕事ご苦労様です 零番隊は私と薫しかいないけれど頑張りましょうね」
「隊長は今までずっとお一人で?」
「いいえ 私が零番隊に入隊した時は、隊長と副隊長がいました
お二人とも亡くなってしまって……それから一年が経ち薫が入りました」

香姫は少し寂しそうに笑った。
その様子に薫が気付くはずもなく「そうですか」と一言、そのまま執務室へと部屋を出て行く。



ーーー数時間後

香姫が執務室へ入ってくる。



「休憩しましょう」
「はい」
「紅茶が好きでいつも飲んでいるの 薫のも準備しますからこちらへ」
「はい」

薫は面倒くさい女だと思いながらも自分の上司なので、要らないとは言えず返事をして、一緒に隊首室へと向かった。

香姫は自分の机の横にある棚からティーカップを取り出して、部屋に備え付けてあるコンロにティーポットを用意し火をつける。
その姿に薫は隊長らしくないなと思ってぼんやりと見ていた。

「こちらは現世の物を取り入れて作って頂いたの 素敵でしょう」

満面の笑みで薫に話しかける香姫。薫はあまりに無邪気な笑顔に胸が動悸するのが分かる。

(こんな変な女…今のは勘違いだ)

もう一度、香姫を見て嫌悪感をさらに強くした。




ーーー数分後



紅茶が出来上がりソファに移動した。
香姫はとても楽しそうに。薫は面倒くさそうに腰掛ける。

「良い香り…ん、おいしい」
「いただきます……(確かに美味い)」
「ふふ おいしいですか?」
「まぁ…(この女)」

薫は香姫から目線を外しカップを握る手は必然的に強くなった。

香姫はそんな薫を前にすごく嬉しそうに紅茶を飲む。いつもは一人なのに今は二人だから嬉しかったのだ。
お茶菓子も勧められたが、薫は紅茶を飲み終えて早々と執務室に移動する。





〜執務室〜



「零番隊の隊長というからどんな人かと思えば、あの女……ダメだ…考えているだけで苛々する」
〔珍しいな 苛つくの〕
「神無月…」
〔俺は好きだね…薫を一日でそこまで動揺させる女…興味深い〕
「お前物好きだな」
〔そうか?〕

神無月はクスクス笑い執務室を見渡していたが、薫に刀に戻れと言われ素直に従った。






〜隊首室〜



〔香姫〕
「はい」
〔あの人嫌いだわ〕
「どうして?」
〔つまらなそう〕
「そうですか? 私には面白そうな方にしか見えません」

クスクスと楽しそうに笑う香姫。
そんな彼女にため息をつく斬魄刀。

〔あの斬魄刀も嫌味な感じだわ〕
「綺麗な刀でしたね」
〔私の方が魅力的よ〕
「ええ、分かっています」
〔…嬉しそうね?〕
「はい」

〔 まぁいいわ〕

桜は諦めたように言って刀に戻った。





―――定時後



「香姫隊長 他には仕事はありますか」
「いえ、今日はこれくらいにしましょう ご苦労様です」
「それではお先に失礼します」
「あ、あの、よろしければ一緒に帰りませんか?」

香姫は質問しておきながらすごくどきどきしていた。

「別に構いませんが…(どうせ家が一緒だし)」
「良かった」

一緒に帰るだけだと言うのに香姫が嬉しそうに笑うので、薫からはいつも以上に幼く見え、これが自分の上司かと思うと情けなくなる。




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