BLEACH 零

□出会い…(仁編)
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―――定時後



〜仁の部屋〜



仁は結っていた髪留めを外しベッドに投げつけた。

「何者なのよ!? あの後も何回もお茶にしましょうって…ただでさえ紫堂さんと居ることに腹が立つのに!」

仁は服を脱いではベッドに投げつけていたが、途中で手を止めてソファに座りそのまま横になる。

「紫堂さんに…またお会いできた それだけでいい でも、知りたい 変わった理由を…笑っている姿も、あの優しい目も……」

仁はそのまま目を閉じた。





―――数十年前



〜訓練所〜



「ふぅ…上手くいかない」

仁は真夜中一人で縛道の修行をしていた。
だがその修行中一人の男の影を見つけて近寄る。

(!!紫堂さんだ)

仁は木の陰に身を潜め、地道に鍛錬をしている薫をひっそりと見て驚いた。
訓練施設での天才…紫堂薫。

他の者も一目置く存在。

(なぜこんな夜中に…?)

「出て来い」
「!?」

仁はビクビクしながら前に出た。

「何か用か」
「いっいえ、私も鍛錬していて偶然姿が見えただけです」

薫はその様子を見てその場から無言で立ち去ろうとする。

「待ってください! 私はもう終わりましたから、紫堂さん鍛錬していてください」
「…」

クルッと振り返る薫。

月光に当たった無表情の薫の鋭い眼光に仁は全身に悪寒がはしった。

「場所を変えるだけだ」

そう言い残し去って行く。

仁はその場に立ち尽くし、胸に激しく鼓動が打っていることを知った。

その次の日

また次の日…。

日を追うごとに仁は薫を目で追いかけるようになった。

(素早い動き、卓越した霊力、頭の回転の速さ、全てに完璧な紫堂さん……あの人の瞳に何が映っているのか知りたい…近づきたい…)

仁はそれから薫を目標に鍛錬し始める。

そんな想いを馳せて数年後、薫は訓練所から消えた。
訓練所から消えた場合、その者が授業の一環の任務で死んだか、どこかへ配属されたか……その二つしかない。

そして訓練生は誰一人としてその後のことなど知らされなかった。
残された仁は少しだけ落ち込んだが、きっと彼ならば生きていると確信していた。
また薫に会うことを目標にして厳しい鍛錬をこなす。

そんな仁にとって憧れの薫に出会えたことも、話せることもとても喜ばしいことだ。

しかし、あの時の薫とは別人のような姿に仁は戸惑いが隠せず嬉しい反面、知れば知るほど嫌な気持ちが増していく。



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