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□舞うこころ
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―――数日後
露草が人型になって白緑と一緒に遊んでいる横で、鶸は木に座ってボーっとしていた。
(そういえばあいつをきちんと見たのは初めてかもしれないな…)
「ひわ!とれた むすべ」
「何?・・・・・チッ」
鶸が突然に下にきた露草のその物言いにカチンときたが、あまりに無邪気な笑顔で自分を見上げる露草に何も言えなくなった。
木から降りて仕方なく三つ編みを直す。
「白緑に頼めばいいだろ」
「びゃくろくができなかったからひわにした」
「なら自分でこれぐらい出来ないのか」
「・・・う…うるさい」
「ああ、そうか…お前は不器用そうだ」
「ひわもぶきようだろ」
「何を根拠に」
「びゃくろくがいってた」
「真に受けるんじゃないよ ガキ」
結び終えて頭をゴンっと殴る鶸。
「っ…、このばかひわっ!」
少し涙目になりながら露草は鶸の方へ向き直り、キッと睨む。
鶸はそんな露草をじぃーっと見て考えた。
(…ふうん? 黙っていれば顔は悪くないね)
「なっ、なんだよ?」
何も言ってこない鶸に逆に驚き普通に話しかける。
「別に それより髪は終わった」
「……あり‥がと」
露草が走り去る前にお礼の言葉を小さく呟いた。
鶸は驚く。
お礼を露草から言われるとは思っていなかったため、ボー然と立ち尽くしていたが、クスッと可笑しそうに笑う。
それから鶸は露草をからかうのを趣味にした。
露草から見れば大迷惑な話しだが、少なからず言い合い出来る仲間として楽しんでいるのだった。
――――――――――
―――数年後の冬
「オイ どこ行くんだよ?」
「ガキには関係ないだろ」
「ガキじゃねえっ!!」
「…はっ」
鶸は思いっきり鼻で露草を笑い、消えて行く。
「チッ……元々気まぐれな奴だけど、冬になると見かけないんだよな…」
――――――――――
「そういえば最近に気にはなっていたんですが、「あのバカ」や「ガキ」という名詞をよく聞きますが、兄弟でも出来たのですか?」
銀朱が露骨に笑顔でさらりと聞いた。
「は?…何それ?」
嫌そうに鶸は言う。
「あら? 違いましたか? 友達のお話しをしているようには聞こえないものでしたので」
「アイツとはそんな関係じゃないよ」
「ああ! では、恋人? ぶっっ‥」
銀朱は鶸から雪を投げつけられ顔中が真っ白になる。
「そんなんじゃない!」
鶸はそう言い残して消えて行った。
「あら‥」
銀朱は顔の雪を払いながらクスリと笑う。
「私には白緑さんが大切にしている方への目線にしか見えないんですけどね〜?」
クスクスと結界の外を見ながら楽しそうに笑い、その場を後にした。
銀朱はその後すぐに鶴梅に発見され、小言を言われながら直ちに部屋の火鉢の前まで案内された。