etc…

□おそろい
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「…ステイルメイト」

チェスを始めて40分。

コーネリアがそう呟いた。

ユフィは盤上の駒からコーネリアへと視線を移し、ルルーシュとシュナイゼルはお互いを見ていた。

「仕方ないね どうかなルルーシュ?」

「はい、今日は引き分けということで」

「残念だな ぜひ見たかったのだが…」

名残惜しそうにシュナイゼルはカチューシャを手にとった。

「兄上がこんなチャンスに引き分けとは珍しいですね」

コーネリアがジロリと責めるようにシュナイゼルを睨みつけてトゲトゲしい言い方をする。

「ん、そうかい?」

「ええ いつもの兄上なら‥」

「ルルーシュ良かったですね」

シュナイゼル達が会話を続ける中、ユフィがルルーシュに声をかけた。

「ああ……(俺が着なくてすむのはもちろんだが、ユフィにあんなスリットの入った服や、短いスカートのメイド服を着せるわけにはいかないからな)」

ジッとユフィを見て内心ホッとするルルーシュ。

「ふふ きっとわたくしがずっと応援したからです」

ユフィは誇らしげにルルーシュに笑いかけた。

「ああ、そうかもな」

ユフィに軽く微笑してルルーシュはチェス盤へと視線を移して駒を片づけ始める。

「まあ、信じていませんね? ではルルーシュにお聞きします わたくしがシュナイゼルお兄様を応援していても負けないという自信がありますか?」

「ユフィ 意味が分からないんだが…それに応援といっても実際は何もしていないだろう?」

手を動かしながら答えるルルーシュ。
もっともな事を言っているのだが、ユフィに対してだと優しい口調で答えた。

「いいえ! わたくしはルルーシュの勝利を信じてずっと願っていましたわ」

「そ、そうか…」

「想いの力はすごいのです! その想いは相手の力にプラスとなるのです」

ジーッとユフィが横で見つめるので、ルルーシュは少しため息をついてからユフィの方を向いた。

「…ユフィ、応援ありがとう」

「はい!」

ユフィは満足げに笑って、カップに手を伸ばした。

そこにシュナイゼルの部下が現れたが、気付いたときに軽く手をあげて下がらせる。

「コーネリア 私は先に失礼するよ」

「はい 兄上、私もそろそろ時間ですし一緒に行きます」

「そうかい? では、ルルーシュ、ユフィ、私達はもう行くよ 今度は皆で食事をしよう それと…ルルーシュとナナリーへのお土産は使用人に渡してあるから ユフィとコーネリアの分も家に届けたよ」

シュナイゼルは席を立ち、ルルーシュとユフィにそれぞれ笑いかけた。

それに合わせてコーネリアも一緒に立ち上がる。

「兄上、次こそ勝ってみせます」

「それは楽しみだ」

クスリとシュナイゼルは楽しそうに微笑んだ。
そして扉へ歩いて行く。

「お姉様ももうお帰りになりますの?」

「ああ、また後でなユフィ ルルーシュ、明日はユフィと出かけるそうだがあまり遅くまでユフィを引っ張り回すなよ いいな」

「ええ、承知してます姉上」

ユフィと出かける前にいつも言われる言葉なのでルルーシュは軽く肯きながら言った。

「じゃあな、二人とも」

「はい」
「行ってらっしゃい」

コーネリアの言葉に二人はシュナイゼルとコーネリアへ向けてそれぞれ声をかける。

二人はルルーシュに着せようと持ってきた洋服は、帰る前に使用人に渡していたのをルルーシュは知らないでいた。




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