etc…

□独り占め
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――――――――――



鶸は木に座って実を食べていた。
そこに白緑が現れる。


「ふふ‥鶸」

白緑は嬉しそうに鶸に話しかけた。


「何? 気持ち悪いよ」

「この前は露草を助けたそうだね」

「たまたま通りかかったからね」

「そう……でも、あの日の露草は上機嫌だったよ 何かしたのかい?」

「何も……」

フイッと鶸は首を横に向けた。


「・・・くす」

白緑はまだ何か言いたげな様子だったが、微笑した後そのまま去って行った。


「ムカつく」

白緑の笑いに鶸は腹が立ち、最後の一口を口に放り込んでその場から飛ぶ。

そして、露草の元に行きいつものようにからかって鬱憤を晴らした。

そんな平凡な毎日が春、夏、秋…と、続いていた。




―――季節が巡り、冬。



「ひわ!」

「何だっ・・い」

鶸は振り返る際に、不覚にも露草からの雪玉が腕に当たった。


「ははは! ばかなやつ」

露草は笑ってからその場を思い切り走って逃げる。

鶸はため息をついてから露草を全速力で追いかけて雪玉をぶつけた。



―――数分後



鶸の逆襲に露草は負けて、頭以外を雪に埋められた。


「どかせっー!」

露草が叫ぶ中、鶸はふふんと勝ち誇ったように笑う。

露草は向きになって体に力をいれたのだが雪はびくりともしなかった。


「…冬は白緑が眠る お前も寝ればいいだろ」

鶸は爪で雪にザクザクと切り込みをいれる。

露草が雪から出れた姿を見て、鶸は「いいね…」と一言残して神社へ向かった。


「ふん」

露草はまだ雪が体に残ったままだったが、仕方なく本来の姿に戻り眠る。





――――――――――



〜銀朱と鶸〜



「白緑さん 今日は機嫌がよろしいですね」

「は?」

「いつもならあと二割増しで、悪そうな顔をしていますよ?」

銀朱はさらりと笑顔で言った。


「あんた、喧嘩売ってんのなら買うよ」

そう言って囲碁の石を動かす鶸。


「っ……(ふーん 怒らないなんて珍しい日もあるものですね)」

銀朱は石をとり、パチリと打った。

その日の囲碁は、いつもと逆で鶸の方が勝ちが多く銀朱は悔しがる。




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