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□触れ合う体温
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ヒナタが毛布を取りに行った事も、毛布をかけてくれた事もネジは気づいていなかった。
その時には春の暖かな日差しに負けて寝入ってしまったのだ。
ただ、ふと目が覚めて横を見ると真っ黒な物体があり、その隣には一緒に横になって眠るヒナタがいて寝息までたてている。
無防備な姿にネジはクスッと笑みをこぼし、かけられていた毛布をヒナタにかけてあげた。
あまりに不思議なヒナタの寝姿に驚いていると、ヒナタが寝言を呟くのでネジはそのかわいさに顔がにやける。
(‥きれいだな)
スッと手を伸ばして髪を撫でようとすると猫が爪を立てて引っ掻いてきた。そして同時にヒナタもパッと目を開ける。
猫は呑気にヒナタにすり寄りネジに向かって鳴く。流石のネジも猫のイタズラに苛立った。
「‥…兄さん? 起きてたんですね」
ゆっくり起き上がるヒナタ。
「つい先ほど ヒナタ様 毛布をありがとう」
「いいえ、‥ネジ兄さんが眠っているなんて珍しいからずっと見ていたんですけど、気がついたら私も眠ってしまいました‥」
少し眠気眼で恥ずかしそうに笑うヒナタに猫はたしたしと前脚で胸元辺りを押して「にゃお」と鳴く。
「ふふ 猫さん来てたんだね」
かわいいなぁと何度も撫でるヒナタ。
ネジはじっとその光景を見て「そんなに猫が好きでしたか」と尋ねた。
「え? えっと、猫だけじゃなくて動物はみんな好きです」
「そうですか…それにしても羨ましい」
じっと猫を見て静かに言うネジにヒナタは驚く。そして、
「でも私はネジ兄さんのほうが好きですよ」
「は…?」
ネジはヒナタの前で初めて顔を真っ赤にし、ヒナタも思わず出てきた言葉とネジの表情に恥ずかしくなり顔を赤らめた。
そんな雰囲気を邪魔するように猫はヒナタの手を舐める。いきなりの事に驚き肩をピクリと動かした。
その姿にネジは微笑み手を伸ばして髪に触れる。
「俺もヒナタ様が一番好きだ」
ニッと笑いネジはグイッとヒナタの腕を引っ張り唇を奪った。
「っ」
「久々に会えたのに猫ばかり可愛がるから」
「そ、そんなことは‥」
ネジは恥ずかしがるヒナタにまたキスをした。
二人が近づき、ヒナタの膝の上で丸くなっていた猫はするりとその間から離れ庭に向かう。
「…猫行ってしまいましたね」
「?…」
ヒナタはネジでいっぱいいっぱいで、猫が出て行ったことに気づかなかった。
それがネジには嬉しくて、ヒナタが恥ずかしくて下を向いたので顎をグッとあげてまたキスをする。
(ん‥何だか…いつもと違う)
ヒナタはいつもより強引なネジに甘い吐息を漏らしながら何でだろうとぼんやりと考えていた。