家庭教師ヒットマンREBORN

□一度しか言わない
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「やっぱり、ユウさんは面白いですねー」

顔は無表情だが、笑ってるのは伝わる
ああ、私もこいつの感情を簡単に読み取れるようになっちゃったよ


もう、私はいまボーッとしたい気分なんだよ


ユウは適当に相槌を打つことにした、そうすれば彼は飽きてどっかいってしまうだろうと。

「ユウさーん」

『はいはーい』

「今日作戦隊長が任務行ってたんですけどー」

『はいはーい』

「任務中に鮫が出てきてくそ鮫がぁって言ってたんですけどー」

『…はいはーい』

「それって訳するとファックスペルビですよねー」

『……はい、ぶほっ…はーい』


え、スクワーロウケるんだけど
ファックスペルビってなんで自分のことファックとか言ってるの
ちょ、まじで笑い出しそう
いま我慢してるのに!!!
そしたら、またこの蛙の思い通りやん
よし、平常心平常心



「いま笑いましたよねー?ユウさん」

『はいはーい』

「ユウさーん?」

『はいはーい』

「ちんちくりーん」

『はいはーい』

「…ボスに言いつけてやる」

『はいはーい』


ふん、どーだ。私はめげない
早くどっか行け

「…………」

『はいはーい』

「ユウさん」

『はいはーい』

「1回しか言いませんからねー」

『はいはーい』

「ユウさん、好きです」

『はいはーい……








……………へ?』











え?











「入隊した時からずっと…」

『ちょっ、え、蛙?』

「やっと、口聞いてくれましたねー」

『な、なんだよ…口聞いてもらえたいための言葉だったの?』

そんなこと例え冗談でも言ったらだめだよ、まったく







「冗談じゃないですよー」

『ちょっ、蛙!』

「ミーが嘘ついてるついてないかユウさんならすぐわかりますよねー?」


『……』

やめてよ、そんな目で見るなよ
本気だと思っちゃうじゃん
そんな目で見られたら
嘘だと思えないじゃん






「ミーが言ってた、プライベートで壁を感じたくないって意味はー…」


フランは右手をユウの頬に添えた





「ユウさんの特別な人になりたいって意味なんですよー?」



『っーーー、!!』




やばい、
胸がいま締め付けられる
今日の私どーかしてる
でもこの感覚は昔から知ってる




「構って欲しいのも、ずっと名前を呼んでるのもー」

『やめてよ』

「ぜんぶ、ぜんぶ」

『…っやめて』

「ユウさんのこと大好きだからなんですよー」

やめてってば!




胸が心臓が心が



痛いよ






「そんな顔赤くしても怖くないですよー」







フランはいつもの調子でユウに言う

これじゃーまるで、私だけ
照れてるみたいじゃん
カッコ悪いよ
後輩の前ではしっかりしたいよ
特にこいつの前では…



「でもどーしたら、ユウさんにミーの気持ち伝わるんですかー?」

『っ!』

フランは頬に添えた右手を下ろしてうつむいた
そんな君の顔見たくないよ…







『…っフラン!』

「っ!」

私は滅多に呼ばないフランの名前を呼んだ

『…わ、私も1度しか言わないからね!』

「…え?」

『別に、フランのこと……嫌いでは…ない』


むしろ、好き。
うるさくて、構え構えーって迷惑だけど
そんな君がいたから私はこんな元気で明るくやっていける
1人で寂しいときだってずっと君は隣いた
そんな君に私はいつからか惹かれていた

そんな事本人の目の前で言えるのは
当分先だろう。
けど、フランは私の言いたいこと
分かるよね?



「っー!」


フランの顔は一瞬驚いたが、いつも通り無表情に戻り、嬉しそうに頷いた





「ミーもです」











一度しか言わない



(私は赤い顔を見られないように)

(フランを抱きしめた)
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