銀魂

□強い独占欲
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「…もう行くのかァ?」

『そーね、もう江戸にはついてるのでしょう?』








俺ァ、独占欲が強い方だ
気に入ったもんは手に入れてェし
好きなもんは側におかねェと気が済まねェ
俺の独占欲は
黒い獣のように俺の中で騒ぎ立てる


こいつ自体
俺のそーゆう類のもんをくすぐる




いつから俺ァ、こいつに魅せられたか
遠い昔のガキの頃から俺ァお前を目で追っていた
ひらひらと舞い踊る蝶みてェに美しい
その舞い踊る蝶の羽を何処にもいかねェように引きちぎりてェ





『また京に来た時はよろしくね?高杉、』

「…あいつのところへ行くのかァ?」

『銀時?んーどーだろう』
名無しさんは困ったように笑う





名無しさんは銀時のことが好きだ
いや、多分本人もわかってねェ
知ってるのは俺だけだ
いつも見ていた俺だからこそわかるもんだ


あいつが江戸へ行ったら
もう俺のところへは戻って来ねェだろう
もともと銀時のところへ行く理由で
俺の船に乗ったんだ
聞こえは悪いが利用されたような感じだろう
それでも、そんな理由でも
俺ァこいつといれるなら僅かな時間でも欲しいと思った





『高杉、…まだ先生の復讐を?』

「……」


俺ァ答えねェ
こいつは俺の考えに断固反対派だ
だから、こいつは俺といねェ
だからと言っておれはこの憎たらしい憎悪の塊を抑える気はねェ
抑えたとしてもこいつはあのヤローから離れるとは限られねェからな







だから俺ァ

「俺は壊すだけだ、」



この世界を
先生を死なせた世界を
俺のそば名無しさんがいねェ世界を
俺と名無しさんの邪魔をする輩がいる世界を
全部壊してやる








『…そっか』
名無しさんはそう呟くと船から出ようとした

高杉は窓の方に寄りかかり煙菅を咥えている



『船の旅楽しかったよ、』




そのままこいつを外に出したくねェ
いま手を掴んで、
檻の中に入れ、一生俺の傍におこうか
そうすると、こいつは一生俺と口を聞かねェだろう
俺の独占欲は黒い獣のようだ





『たかすぎ』

「あ?」





『ありがと、好きだよ』

「…あぁ、」




いつもの決まり文句
お礼のたんびにこいつはいつも言う
俺はこんなにお前を知ってるのに
お前は俺の気持ちも知らずに…

俺以外にも
いろんな人に言ってるんだろう
昔からこいつはそうだ
だが、銀時には、どんな気持ちで言うのだろうか。
俺と同じように何でもないように言うのだろうか。
ああ、また黒い獣が出てきそうだ







「……俺も、好きだぜ」







言葉は同じなのに、気持ちは違う

ああ
こいつの気持ちが欲しい



その瞬間
俺の中の黒い獣が騒ぎ立てる





強い独占欲


(俺ァいつの間にか)

(こいつの腕を掴んでいた)
 

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