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□第弐話
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深々と降り積む雪 ―――――


昼間の喧騒はなく
不気味なくらい静かな夜



はく息は白く
指をきる寒さにはまだ馴れない。



『寒い・・』

思わずつぶやく
たがらといって何かがかわるわけではないのだが・・


・・

ふと
悪寒がする・・
嫌な予感とでも言うべきか・・



まぁ。
こういう気乗りしない日は、早く帰るにかぎる。
面倒事はごめんだ。








『おい。何をしている。帰りが遅い。わざわざ俺が出向く羽目になったではないか。』



『・・。風間か・・気配を消してちかずくなんて、悪趣味なやつだな。』




ほらみろ。わたしの予感はあたる。
きっと、あの悪寒はこれか。




『ふん そのような態度でよいのか? 折角、連れ帰ってやろうと思っていたのに。どうせ。道に迷ったのだろう?』





・・・・・

確かに、迷っていたのは事実だ。
私が京にきたのは、つい最近・・だが、

連れ帰るとは。私は犬か
本当に何様のつもりなのか・・こいつは・・


と思うが口にはださない。
世は上手に渡らねば。




『助かった。早く帰ろう・・』


『どこへいく・・此方だ。』


彼は私の手首を掴み正方向へと引き寄せた
その顔は優しげで、掴む手も柔らかだ。

・・・





解らない。






気にくはないやつだが、
嫌いにはなれない。

狡い人だな・・風間は















はく息は今だ白く

雪はふりつづけている


その時は気のせいだと思っていた予感は・・・

このあと起こる事件を予期していた
とは知らずに・・・










―――嫌な予感の出所は

いつだって不安でしかない―――

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