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□第祿話
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『出雲ちゃんは、覚えが早くて助かるわ〜きっと、いいお嫁さんになるわね』

『ありがとうございます。貰い手がいればの話ですが。』

『まぁ。こんな可愛い子なら誰だって大歓迎よ!』


『そうですか…
にしても、凄い着物の量ですね…』

『そうでしょ?
んー何処にしまったかしら…


あっ!あった!この着物これ土方さんに頼まれてたのよ!ちょっと持っていって おいてもらえるかしら?』



『はい。かしこまりました。』














八木邸にきてから数ヶ月がたった…

八木さんとも仲良くなったし、
なかなかいい生活を送らせてもらっている…‥





けれども

目的である羅刹についての情報が全く入ってこない。
おそらく、八木さんは関わっていないからだと思う。



はぁ。どうしたものか…

そろそろ…風間たちに会う頃なのに‥
手ぶらで帰ったらどんな仕打ちが待っているか……










『土方様はいらっしゃいますか?
國崎です。』


『あぁ。入れ。』


『失礼します。』


心なしか、空気がはりつめている

来る途中にみた
隊士たちも慌ただしい様子だった

何かが起こるんだ‥…


『土方様、八木様から土方様に と、
着物…羽織でございます。』

『あぁ。ここにおいておけ』


『はい。
失礼しました。』




なん着かの羽織…

ざわめく隊士たち…

はりつめた空気…


いったい・・・・何が・・












『キャッ!』

よろけて倒れてしまった
痛い・・





『いってて…
って!お前大丈夫か?』


さっと差しのべられた手

のぞきこむ様に私を見る

確か・・藤堂平助・・



『大丈夫です。
痛かっただけです。』


『痛かっただけって……あーえっと
ごめんな。』


目尻が垂れてる・・犬みたい・・じゃなくて・・これは、いい機会なんじゃ・・

逃すわけにはいかない。






『‥此方こそ、すみません。
お怪我はありませんか?
今日は、大事な隊務があるのでしょう?』



・・・・かまをかけてみる・・けどまぁ。引っ掛からないよね・・・




『あぁ!よく知ってんな!
今日は、俺たちの大捕物なんだよ!


『えっ・・』

『ん?どうした?』



馬鹿だこいつ・・



『流石!新撰組の藤堂さん!
民の為に頑張ってくださっているんですね!今日は何処で捕物なのですか?』

『おう!今日は、池田屋か四国屋って話なんだけど・・』



意気揚々と話はじめた藤堂さん
単純でいい人なんだと思う・・



んっ?まてよ。
池田屋・・?

風間と落ち合う所じゃなかっただろうか・・・





『それで…ってごめんな!
そんな血生臭いこと興味ないよな』

『いえ。人のなにか一生懸命な姿を聞いているのは好きですよ。藤堂さん?』

『そっそうか?

そういえば、その藤堂さんっていうの止めよーぜ!歳も近そうだし、平助でいって!』





・・・まぁ。仲良くしとくのも悪くはないかな・・・・




『平助 よろしくお願いします。』


『あぁ。よろしくな!』






『おい。お前ら何してやがる?』

『あっ…』

『こいつは悪くねーよ!
俺が勝手に話してただけ…だよな?


『えっあっはい。』



『…じゃあ。さっさといけ』


『すみません。失礼します』













さすが、鬼の副長・・
後ろで怒鳴り声が聞こえる

まぁ。あれだけ話してしまったものね。



でも、良いことがきけた。

捕物にでるということは、屯所は手薄になる・・


風間に会う前に調べてまわり ますか・・








―――――それぞれの思いを抱えなから
―――――――――
後に池田屋事件と呼ばれることとなる――――――――
―――――大捕物が幕開けようとしていた――――――――――――――――――

















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