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□第玖話
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走る
走る
…何で?
今、ここで私が池田屋に行く意義はなに?
――――ない
それなのに何故こんなに必死になっているのだろうか
自分のきもちすら わからない
『…っ 』
走った勢いでそのまま宿に飛び込んだ
ほこりと鉄の濁った空気が肺に広がる
「って…如月!?」
『永倉さん…その手…』
「あぁ、こんなのかすり傷だ。行くなら二階の総司か平助のところへ行ってやってくれ!」
さっきから何で必ず行く羽目になるのだろうか、そして逆らう気が起きないのだろう…
『はい、わかりました。……じきに四国屋の土方隊が加勢に来ます。持ちこたえてください』
「こんなの俺たちだけで十分だっ」
伝えることは伝えた。
私は踵をかえす
ここからは自分の意識で進む
こんなのいつぶり?
流されるままが性にあってるはず…
《思い出して………………透っ……》
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