shortnovel〜sweet〜

□平行な思い
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(トゥルルルルトゥルルルル)

東方指令部マスタング組の部屋に、一本の電話ベルが響いた


「もしもし…。やぁ!ミリアか!」

ピクッ

電話に出た上司の弾んだ声と言葉に
少し離れた所で書類チェックをしていたリザはため息を吐いた


(大佐ったら…また私用に軍の回線を使って…)



そのため息を聞いて
リザの隣に座っているタバコをくわえた金髪の男は
ビクリと肩を震わせた


「大佐…今日で何回めッスかね」

「そうね…。少なくともここ何日間の書類がたまる分はしているわ」

もう一度

リザは大きくため息をついた




そう

ここ何日間
ロイが私用電話をするたびに
リザは怒っていたが、今では怒る気力さえも残らなかった


数日分の書類処理
毎晩の徹夜
加えて目の前で違う女性に向けて甘い言葉を並べる愛する人


正直、リザはかなり疲労していた


射撃場にでもいこうかしら…


静かに席を立つと
丁度ロイも電話を切った


部下より少し離れた場所にあるデスクまで行く間

彼は一度も顔を上げず書類に目を落としていた


「大佐」

「なんだ」

「射撃訓練へ行きたいのですが」
「うん、許可する。
最近多いな、射撃訓練」

「おかげさまで」


そこで初めて顔を上げた彼は
右腕を頬について嫌みな笑みを浮かべた


「君も、少しは大人なストレス発散法を身につけたらどうなんだ?」

!「結構です、失礼しました」

足早にリザは執務室を後にした



何が大人なストレス発散法よ!!
仕事もろくにせず女性と話すことがストレス発散ですって!?


即様愛用の拳銃を抜き射撃場の
重い扉を開けて拳銃のロックを外す


中央の的に向かってリザは弾が
つきるまで撃っては補充用を足して長々と銃声を響かしていた
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