shortnovel〜sweet〜
□聖なる夜
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『リザ、見てごらん』
彼の言葉に、私は急いで冷たい窓ガラスに飛び付いた
『わあー!雪だ!!凄いですね!ホワイトクリスマスですよっ!!マスタングさん!』
くすくすと笑う彼が毛布片手に近くまでくる気配がした
『そうだね。リザ、寒くないか?』
『はい!』
『こっちにおいで、そこにいたら風邪を引いてしまう』
『でも、雪が溶けちゃうかもしれない…』
『雪はそんなに直ぐには溶けないよリザ。後で、一緒に外にでよう。ね?』
宥めるような声で優しく問いかけた彼に大きく頷き、
両腕を広げて私を呼び込んだ大きな膝の上に腰を下ろす。
温かい毛布よりも一層温かく感じる彼の温もりに、寒さにこもった力が抜ける。
彼が私の頭に顎を置いて、
きっと自分の手の何倍もあるだろう大きな手を私の前で組んで、まるで包み込むかのような体制で二人、窓の外の雪を眺めた。
『マスタングさん…暖かい。』
『リザは、やっぱり冷たいな』
『違いますよ!元から冷え性なんです!!』
重ねられた手から逃れるよう引っ込めれば、逆にあの大きな手で包み込まれた
『こうしてれば、冷え性も少しはよくなるだろ?』
相変わらず大胆な彼の行動に頬を染めながらも、小さく握り返した
『マスタングさん』
『ん?』
『………また次のクリスマスも…雪、一緒に見ましょうね』
『…………あぁ、そうだな』
そのまま二人とも何も言わず
彼の作ったホットココアを飲み干し、表に出た。
すっかりと彼の体温に染まってしまった指先は、自分の体温の時には感じなかった外気の冷たさにじんと痛んだ。